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【大阪】【兵庫】阪急生まれのB級グルメ&ニュータウン鉄道の行く末──JR福知山線(JR宝塚線)・神戸電鉄公園都市線 #39

うまくいかない三田駅の接続

さて、最後に前々回で少し触れたJR福知山線と神戸電鉄公園都市線/有馬・三田線の接続の問題、そして構造的な北摂三田ニュータウンの問題点に触れ、兵庫編を締めくくることとしたい。

三田駅からの神戸電鉄の日中ダイヤは、有馬・三田線新開地行きも、公園都市線ウッディタウン中央行きも15分間隔の運転。両線が重なる三田─横山間は日中も8本/hが走る、神戸電鉄有数の高頻度運転区間。しかし、列車本数が多い割に「死にスジ」が多く、大阪→公園都市線各駅が30分間隔の丹波路快速しか実質的に機能していないなど、問題点も見られる。以下に現行の日中ダイヤをもとにした、福知山線と神戸電鉄の接続関係を示す。

まず、福知山線のダイヤの骨格となるのは、30分間隔で運行される丹波路快速である。丹波路快速は大阪─篠山口間66.1kmを67分で走破する俊足であり、途中駅での特急待避もなく、かつ新三田─篠山口間は普通列車の運転がなく丹波路快速しか走らない。このため、福知山線の乗客はどうしても丹波路快速に集中する。丹波路快速は大阪─三田間41.4kmを38分で結び、普通が51分かかるところを13分も短縮している。

したがって、公園都市線も有馬・三田線も、利用が集中する丹波路快速と接続を取ってから出発する。公園都市線ウッディタウン中央行きが丹波路快速と6分接続で三田を出発したあと、3分後に有馬・三田線新開地行きが立て続けに出発する。そのため、三田─横山間は12分-3分-12分-3分…と偏った運転間隔になってしまうのは、致し方ないところ。

また、30分間隔の丹波路快速のちょうど中間には大阪─宝塚間運行の快速(以下『宝塚快速』と呼ぶ)が挟まっており、大阪─宝塚間は丹波路快速と宝塚快速を合わせて15分間隔となっている。宝塚快速から三田方面へは川西池田で普通新三田行きに乗り継ぎとなるため、大阪─三田間で丹波路快速より6分余計にかかる(川西池田でさらに特急を待避する普通だと9分)。すると、宝塚快速→普通新三田行きの乗り継ぎで三田に到着しても、意地の悪いことに、公園都市線ウッディタウン中央行きが、僅か1分前に三田駅を出発してしまうのだ。このため、大阪→公園都市線各駅の移動に宝塚快速は役に立たず、丹波路快速を逃してしまうと、30分後の丹波路快速を待つしかない。福知山線も公園都市線も毎時4本以上走っているにも関わらず、三田駅での接続が悪いために、実質的に毎時2本しか使い物にならないというのは、実に勿体無い話だ。

▲三田で丹波路快速からの乗換客を待つ有馬・三田線新開地行き。隣には公園都市線ウッディタウン中央行きが並ぶ

ただ、大阪駅毎時36分発の宝塚快速であれば、川西池田で接続する普通新三田行きは特急を待避しない。このため、公園都市線には間に合わないが、続行する有馬・三田線ならば、2分接続で乗り換えられる。

▲宝塚に到着する普通新三田行き。宝塚から新三田まで先着するが神戸電鉄との接続は悪い

しかしながら、これは神戸電鉄のダイヤが悪いというよりも、福知山線の側に問題があるように思う。

神戸電鉄は公園都市線も有馬・三田線も丹波路快速との接続を第一に考え、どちらもきっかり15分間隔で運転している。これに対し、福知山線は北近畿へ向かう特急などの都合もあり、丹波路快速はきっかり30分間隔ながら、それ以外の宝塚快速や普通の運転がどうもすっきりしない。そのせいで、三田駅の大阪発有効列車の到着間隔が、丹波路快速-(22分)-普通-(8分)-丹波路快速-(25分)-普通-(5分)-…と、かなりばらついたものになってしまう。

これは、大阪─三田間41.4kmのうち、列車の追い抜きができる駅が実質的に川西池田しかなく、他には宝塚の折り返し用ホームが1線あるだけという、待避設備の少なさが原因。そのせいで、特急待避と、快速・普通の緩急接続という2つの機能が、川西池田1駅に担わされている。また、川西池田は大阪起点18.7kmと大阪から比較的近く、次の待避駅である新三田は大阪起点44.6kmと、この間25.9kmにわたり待避駅がない。大阪─新三田間唯一の待避駅である川西池田が大阪側に偏った立地であることも、ダイヤの硬直化に拍車をかけている。特急・快速の2本を待避する普通は川西池田に7分も停車しているなど、そのしわ寄せの弊害は大きい。

この解決のためには、宝塚駅改築の際に準備された4番線設置用地を活用し、宝塚駅を現在の2面3線から、川西池田と同等の2面4線に拡張し、機能を分散させる方が良いのではないかと思う。宝塚駅は大阪起点25.5kmと、大阪─新三田間44.6kmの中間近くに位置していることも、バランスの良いダイヤを組む上で都合が良い。宝塚駅が2面4線になったとして、どのようなダイヤになるかをシミュレートしてみたのが、以下の表である。

宝塚快速を各駅停車で新三田まで延長し、「区間快速」に改称した。これにより、昼間の大阪ー新三田間の快速列車を実質的に15分間隔へ増発すると共に、川西池田での宝塚快速→普通新三田行きへの乗り継ぎを解消した。これにより、大阪ー三田・新三田間で、宝塚快速→普通新三田行き乗り継ぎよりも所要時間を4分短縮し、神戸電鉄との接続列車が5本/h→7本/hへ増加。特急こうのとりが1本/h挟まるために完全接続とはならないが、「死にスジ」が3本/hもあるところ、1本/hにまで減少させる効果は大きいだろう。

さらに、宝塚快速を区間快速にすることのメリットとしては、宝塚駅の引き上げ線設置が不要になることもある。宝塚快速と普通新三田行きを宝塚駅で1分接続としても所要時間上は同じになるが、この場合、快速と普通を同一ホーム接続とするためには、宝塚駅に引き上げ線を1線設置しなければならなくなる。この点、区間快速としておけば、下りは宝塚止まりの普通→区間快速、上りは区間快速→宝塚始発の普通への片方向の接続 だけを考えればよいので、快速・普通とも同一ホームに発着する隣の中山寺駅で乗り換えればよい。阪急との対抗上、「宝塚始発の快速」を設定したい思惑もJRにはあるのだろうが、その役割は普通で十分なのではないかと思う。

▲改築されたJR宝塚駅舎。手前側に4番線を拡張できる構造を持つ

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ニュータウンに入れない大阪直通電車

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