九州・沖縄

【沖縄】昔はフェリー、今はバス――共和バス【7】伊良部佐良浜平良線(2) #57

前回に引き続き、共和バス【7】伊良部佐良浜平良線、佐和田車庫ゆきに揺られる。伊良部大橋を渡りきり、島の東半周へ。まずは、橋の開通まで伊良部島の玄関口の役割を果たしていた、佐良浜集落へ向かう。

【沖縄】フェリーに代わって伊良部島へ――共和バス【7】伊良部佐良浜平良線(1) #56 「お客さん、観光?」「ええ、伊良部大橋を渡ってみたくて」「珍しいね。ま、楽しんでってくださいよ」 島の乗務員さんは、どこまでも...

佐良浜の狭隘区間をよじ登る

港湾地区となる佐良浜港―佐良浜石油前、および崖の中腹に集落が連なるJA佐良浜店前―佐良浜小中学校前はフリー乗降区間となり、任意の場所で降車できるものの、アナウンスが無いため、旅行者にはここがフリー乗降区間であるかどうかは確かめる術がない。

ただ、共和バスのフリー乗降区間は虫食い的なこの2区間だけであり、島の反対側・長浜地区や佐和田地区ではこのような扱いはない。なぜ佐良浜地区でだけこのような扱いをするのか疑問に思っていたが、それは佐良浜集落の地形の険しさによるものであろう。

波打ち際の「大主おおぬし神社前」を過ぎると、ヘアピンカーブで崖をよじ登って「JA佐良浜店前」に停車する。

佐良浜地区唯一の大型店とあって買い物客の乗降が見られるが、「佐良浜小中学校前経由」のこのバスは、佐良浜集落の真ん中を貫く細い道へ入っていく。

集落内も浜から遠ざかるに連れてどんどん標高が上がっていき、道も土地もうねっている。この道が佐良浜集落の中心部であるのだが、細身のマイクロバスと軽自動車がギリギリ離合できる程度の道幅しかない。日野ポンチョでも厳しそうなほど狭い。

集落の中で需要はあっても、この道幅では停留所など設けようがないし、通常の路線バスも充当できないのだ。そのため、勾配・道幅といった制約があまりに厳しく、停留所の設置基準を満たさない中でも乗降ができるよう、僅か850mの間だけという、極めて限定的なフリー乗降制度を設けているものと思われる。

なお、狭隘区間を経由する「佐良浜小中学校前経由」は、1日8往復のうち、上り平良港行きは午前、下り佐和田車庫行きは午後の便が該当する。それ以外は「上里うえざと商店前経由」となり、狭隘区間は通らず、従ってフリー乗降も扱わない。つまり、伊良部島の住民が平良市街へ出向く用事に合わせ、この時間帯の便を狭隘区間経由としているというわけだ。混雑する方向が定員の少ないマイクロバスでの運行となってしまうのだが、この狭隘区間に需要がある以上、致し方ないのだろう。

そのフリー乗降となる狭隘区間で、大きな段ボール箱を抱えた老夫婦が乗車。文字通り玄関先から乗った感じだ。「よっこらしょ」という感じで段ボール箱を抱えて乗るなり、乗務員さんに「郵便局まで」と告げる。まるでタクシーのようだ。「郵便局」という名の停留所は無いのだが・・・と不思議に思っていると、佐良浜小中学校前の次、フリー乗降区間が終わった「徳洲会病院前」で下車していった。

なるほど、「徳洲会伊良部島診療所」の向かいに「佐良浜郵便局」が立地しており、「郵便局」と告げても確かに通じる。運賃140円、2名で280円也。この間僅か750m、時間にして2分程度。僅か750mとはいえ高低差は結構なものがあり、確かにあの老夫婦が段ボール箱を抱えてこの距離を歩くのは危険だ。荷物を出した後の帰りは歩いて帰るのかもしれないが、こういった需要がある以上、狭隘区間を通らないわけにいかない事情がよくわかる。

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「伊良部島のメインストリート」

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