九州・沖縄

【沖縄】んみゃーち宮古!宮古空港エアポートバスの将来──宮古協栄バス【5】新里宮国線 #59

宮古島編の締めくくりとして、宮古島の空港連絡バスを取り巻く状況をまとめ、2019年3月30日に迎えたみやこ下地島空港の開港も踏まえ、将来の展望をしておきたいと思う。

宮古島編第1回(第54回)のみやこ下地島空港リゾート線についての記事と重複する部分はあるが、まずは、お粗末ながらも宮古空港へ唯一乗り入れる空港連絡バス、宮古協栄バス【5】新里宮国線に乗ってみよう。

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1日3.5往復の空港連絡バス

宮古協栄バス【5】新里宮国線は、他の宮古協栄バスと同じく平良(車庫)を起終点とし、平良港バスターミナルなど平良市街を一周したのち、宮古島南部の旧上野村方面へ向かう。やはり他路線と同様に、テニスラケット状の区間、および単純往復となる支線区間を持ち、1日7往復(土休日6往復)の運行である。

このうち、下り宮国行き3便、上り平良行き4便が宮古空港ターミナル内の「空港ターミナル前」に立ち寄る。またそれ以外の便についても、空港ターミナルから徒歩6分の「空港入口」に停車するため、一応は空港アクセス手段として利用できる。

しかし、およそ1日4,000名が利用する宮古空港への公共交通機関は、タクシーを除くとこれが全てである。また、空港ターミナルへ乗り入れる便についても航空ダイヤとの接続が図られている訳ではない。

そのような調子であるから、空港ターミナル内に路線バスの案内は殆どないし、空港のHPにも路線バスへの言及はない。現地での案内は、ターミナルビルの外に出て、タクシー乗り場の脇を通り過ぎて、一番離れたところにあるバス停ポール1本だけだ。バスの時刻を予め知っていて、かつ航空ダイヤの時刻がうまくバスの時刻と合致した時にだけ使えるという、まさに知る人ぞ知るエアポートバスなのである。

▲ターミナルビル内の路線バスの案内はカウンターに置いてあるこの立て札だけ。頭上の掲示などはない

これに対し、事実上のLCC空港として開港したみやこ下地島空港は、航空ダイヤに完全に接続するエアポートバスがあらかじめ用意されたほか、空港のHPでも丁寧にエアポートバスが紹介されており、エアポートバスによるアクセスにかなり配慮されているという点で、宮古空港とは対照的である。

これは、みやこ下地島空港から平良市街への距離が約15kmあり、タクシーでは3,500円程度かかってしまうのに対し、宮古空港からは6.5kmしかないため、タクシーでも1,000〜1,500円程度で済むというのが大きいだろう。その程度の距離や運賃であれば、時間や停留所の位置に縛られるバスよりも、目的地の目の前で降ろしてくれるタクシーのほうが、荷物も一緒に運んでくれ、早くて楽であるというメリットが、金額的なデメリットよりも上回ると考える人が多いのだろう。

▲空港ターミナルへやってくる多くの送迎車やタクシー。しかしバスの本数は3.5往復しかない

宮古空港と平良市街を結ぶバスが、実験は多くともなかなか定着しない背景には、こういった事情がありそうだ。

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「知られざる宮古空港アクセスバス」

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