九州・沖縄

【沖縄】んみゃーち宮古!宮古空港エアポートバスの将来──宮古協栄バス【5】新里宮国線 #59

宮古空港をバスターミナルにしては?

以上、地元・宮国を走るバスがエアポートバスを兼ねるという、不思議な【5】新里宮国線のレポである。ここまで記述してきて思うことは、やはり既存の平良(車庫)や平良港(結節地点)に代わる役割を、宮古空港ターミナルビルに持たせるべきだ、という結論である。

先述の通り、宮古空港と平良市街を結ぶバスの実証実験は繰り返されてきたものの、定着してこなかったという経緯がある。そうであるならば、既存のバス路線を宮古空港へ延長するか、経由させるかの方法はどうだろうか。具体的なイメージとしては、下図の通りだ。

再編案のうち、平良市街の西から入ってくる【5】【7】【9】は、平良(車庫)または平良港(バスターミナル)から、平良市街を右回りに空港まで延長する。平良(車庫)を始発とする【1】【2】【3】と、平良市街の北から入ってくる【6】は、平良市街を左回りに空港へ延長・経由させる。こうして空港へ至るルートを右回りと左回りの2本に絞り、なるべく単純なものにするというわけだ。

どの系統も朝・夕に固まって運行されるのであるが、【1】【2】【3】【4】【5】【6】【7】【9】の8系統すべてを空港へ延長・経由させたとすれば、1日50本以上のバスが平良市街と空港を結ぶことになる上、宮古島の各集落・地域から空港へのアクセスが改善するのは言うまでもない。

宮古空港ターミナルや駐車場にはまだ余裕があり、バス停を増設したり、バス待機場所を設けることはできる。むしろ、平良港ターミナルビルの裏手に押し込められたかのような、現状の平良港(バスターミナル)の方が空港よりも余裕がないとすら感じる。

空港アクセスバスを充実させることは、タクシー不足が叫ばれるなかで、本来タクシーに乗らなくてもよい乗客をバスへと振り向け、さらなる観光客を受け入れる余地を生み出すことに真価を持つ。みやこ下地島空港の開港、そして下地島への国際線発着、クルーズ船の寄港などにより、インバウンドを中心とした観光客の増加は今後も続くだろう。それに際し、タクシーやレンタカーに頼らずとも移動ができる環境を整えておくことは、観光客のみならず島全体のリソースを効率配分することになり、ひいては宮古島の美しい自然環境の保護にもなる。

かといって、ただやみくもにバスを引くだけでは、それまでの実証実験の失敗を繰り返すだろう。地元需要に特化した既存のバスネットワークを、観光客にも使いやすいものへと発展させることは、宮古島の将来を明るいものへと導くことになるはずだ。

(次ページ)
「帰りのバスで」

1 2 3 4 5