九州・沖縄

【沖縄】んみゃーち宮古!宮古空港エアポートバスの将来──宮古協栄バス【5】新里宮国線 #59

知られざる宮古空港アクセスバス

ホテルの送迎車に乗り、宮古空港ターミナルビルへ到着したのは2/17(日)の13:55ごろ。宮古協栄バス【5】新里宮国線・平良ゆきは14:17の発車だったため、20分少々の待ち時間をもって、空港で乗り継ぐ算段でいた。

発車10分前の段階で、14:17発の平良行きを待っていたのは約10名。これに間に合うタイミングといえば、13:55着の名古屋/中部→宮古行きANA329便か、同じく13:55着の福岡→宮古行き1877便のどちらかだろう。これ以外の便は接続が1時間以上開くため、ロスがいくら何でも大きすぎる。何度も時刻表を確認する夫婦もいれば、小さな鞄を抱えて悠然と待っているご婦人もいる。時刻表を見ているのは旅行者、悠然と待っているのは地元民であろう。

それにしても、こんなマイナーな空港アクセスバスに乗るとは、かなり物好きな部類だろう。他の大多数は、観光客なら宿やレンタカー屋の送迎車に吸い込まれてゆき、地元民はタクシーか家族・知人の迎えといったところだ。

沖縄のバスのセオリー通り、5分ほど遅れてブーゲンビレア色の共栄バスがやってきた。幹線らしく、【4】与那覇嘉手苅線や、【6】池間一周線が小型ノンステップバスだったのに対し、【5】新里宮国線は中型ノンステップバス。需要の多さを反映している。

「えっ、整理券とか、ないの?」「ええ、降りる時にお金だけ払ってくださいね」

僕の前に乗り込んだ沖縄らしい顔立ちの夫婦。しかし地元民ではないようで、宮古島のバスは初めてらしい。確かに沖縄本島のバスは距離が長いこともあって整理券式が一般的だが、宮古島で整理券を使うバスはない。

「どちらまでです?」「平良港までお願いします」

見覚えのある乗務員さんだと思ったら、初日に【4】与那覇嘉手苅線で見かけた乗務員さんだった。同じ人に2度当たるとは…多くない乗務員さんで、島のバスを日々回していることがよくわかる。

宮古島のバスは、次停留所の案内放送や、整理券などが一切ないため、その代わりに乗務員さんが乗車時にその乗客の降車停留所を聞き、その停留所を覚えておくということが一般的だ。さほど乗客が多くないからこそ通用する方法だろう。まあ、その前提となる路線図や地図の掲示がバス停になく、「バスマップ沖縄」か、共栄バスのHPで調べておくしかない…という適当ぶりは、ここが沖縄だから仕方ない。

車内を見渡すと、ここまで新里、宮国および宮古島市役所上野支所(旧上野村役場)といった旧上野村の集落を経由しているが、先客は僅か3名。それに対して空港ターミナル前からの乗客は約10名と、航空旅客全体に占めるバス利用者の割合は僅かであっても、新里宮国線にとっては結構なボリュームを占めていることがわかる。地元客と観光客(不慣れな客)は、概ね半々といったところ。

14:17、空港ターミナル前発。宮古協栄バス【5】新里宮国線、平良ゆき。

「本日も宮古共栄バスをご利用くださいましてありがとうございます。このバスは、5系統、新里宮国線、平良行きでございます。途中お降りの方は、お近くのボタンでお知らせください。次は、空港入口・・・」なんて放送はあるわけもなく、何もなしに唐突に出発するのは他の宮古島のバスと同じ。エアポートバスだからといって、特別な配慮はない様子。いくら観光客への知名度がないからといって、次停留所の肉声放送もないのは、いくら何でも不案内が過ぎる気もする。

いまや「ドン・キホーテ前」としての機能のほうが大きい「狩俣砕石所前」を左折し、滑走路を回り込むような経路を辿る。その次が「旧空港前」で、空港からの乗客が1名下車。ここはその名の通り、1996年移転前の旧空港ターミナルがあったところ。

まさに市街地の終端部といった雰囲気で、ここから伸びる下里通りは、小さいながらも宮古島のメインストリートのひとつ。下里通りへ右折すると「合同庁舎前」で、その名の通り沖縄県宮古合同庁舎の目の前。だんだん建物の間隔が狭まってきて、都会の雰囲気になってくる。

14:30到着の「公設市場前」では自分も含め7名が下車。市街中心部で、「空港からの方は220円ですねー」と案内され、小銭を払ってぞろぞろと降りていく。自分も220円を払い、下車。残る乗客は5名ほどで、観光客はほぼいなくなった様子。ここから先は市街地を右回りに囲むように辿り、公設市場前を出ると平良港(バスターミナル)、市役所前、北給油所前、サンエー前と経て、市街地外れの平良(車庫)へ14:37に到着し、終点となる。

ちなみに、このバスは市役所前も経由するものの、平良港バスターミナルを経由してから引き返すような経路を採る上、運賃も260円と上がる。市役所へは公設市場前から歩いても4分程度なので、ここで降りて歩いてしまう人も多いようだ。実際、降りた人の何名かは市役所方向へと歩いていった。

(次ページ)
「支線へ立ち寄る宮国行き」

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