東北・北海道

【福島】会津へ走った東武快速──東武鬼怒川線・野岩鉄道会津鬼怒川線・会津鉄道会津線 #63

僕は会津が好きだ。僕自身とは縁もゆかりもないが、学生時代に旅行で訪れ、その飾らない、素朴な会津の在り方に感激したもの。それ以来、年に一度は必ず会津を訪れるようになった。

▲芦ノ牧温泉駅に停車中の会津線。農村の風景に素朴な木造駅舎、まさに日本の原風景だ

夏は青々とした稲が揺れる田の中を列車が走り、その奥には磐梯山をはじめとした山々が連なっている。秋には稲が頭を垂れ、金色の田がどこまでも広がる。冬は降りしきる雪の中、銀世界の中を列車が力強く走る。そして春には、鶴ヶ城の桜が旅人を迎えてくれる。

▲山を越えてこの線路が会津から東京まで繋がっている

会津線は、「鉄道旅行をしたい」という方へは、まず一番におすすめしたい鉄道なのだ。

会津線:東京─会津の第3ルート

東京から会津の中心都市・会津若松へは、鉄道ならば東京駅から郡山まで東北新幹線で出て、磐越西線に乗り換えるのがメインルートで、所要2時間40〜50分程度、運賃8,760円(自由席利用)で、メインルートに恥じず1時間に1本程度走っている。または、高速バス「夢街道会津号」が、東京駅八重洲口から会津若松駅前まで、所要4時間30分程度、運賃4,800円で、1日4往復(夜行含む)走っている。一般的には、このどちらかを利用するだろう。

▲会津若松駅に並ぶJR磐越西線。東京から会津へのメインルートとして機能する

しかし、会津を旅する方々へ、僕は第三のルート、「会津線」経由をおすすめしたい。「会津線」は、JR会津若松駅を起点とし、南の栃木県へ向かって真っ直ぐ南下してゆき、福島・栃木県境の会津高原尾瀬口駅で野岩鉄道野岩線へ接続・直通する。野岩線もまた南下を続け、鬼怒川温泉にほど近い新藤原駅で東武鬼怒川線に接続し、なおも直通してゆく。東武線は栃木県・埼玉県を経て東京に入り、終点・浅草に至る。会津線、野岩線、東武線の3社で、会津と東京を結ぶルートを構成しているというわけだ。

▲Yahoo!路線情報より。東京・浅草から会津若松までほぼ一直線のルートを構成する

会津若松から浅草へ直接向かう列車はないが、会津若松から1時間ほどの途中駅、会津田島からであれば、長駆浅草まで190.7kmを直通運転する特急「リバティ会津」が、所要3時間15〜30分程度、運賃5,350円(会津田島から)で、1日4往復走っている。

▲会津田島に到着した500系特急リバティ会津

会津若松から会津田島へは「リレー号」が設定され、特急リバティ会津へ接続する。この乗り継ぎならば、会津若松から浅草まで、高速バスと同程度の所要4時間30分程度だ。ただ、運賃は6,790円(特急料金込)と、新幹線よりは安いが、高速バスよりは高い。

ただ、特急を使わなければ運賃4,680円と、高速バスより僅かに安くなるものの、所要5時間と、高速バスより30分ほど遅くなる。

▲会津田島で特急リバティ会津の接続を受けるリレー号

それでも会津線をおすすめする理由は、何と言っても沿線風景の美しさと、沿線に点在する観光資源の豊富さにある。東京から会津若松へ直行するのであれば、新幹線や高速バスが有利なのは確かだが、都会から田舎へ、田舎からまた地方都市へと、移ろいゆく景色が実に美しい。そして、温泉やかつての宿場町、そして昔から変わらない田園風景と、日本の原風景が会津線沿線にはたくさん残っている。

新幹線では目にも留まらぬスピードで通り過ぎてしまう景色を、会津線ならゆっくり窓に肘をつきながら眺められる。高速道路特有の、コンクリートに固められた景色に飽き飽きすることもない。興味をそそられる駅があれば、途中下車したっていい。

▲沿線随一の観光地、塔のへつり。駅徒歩3分という近さ

会津線の魅力は途中下車のしやすさだ。途中下車は鉄道旅行の醍醐味の一つだが、会津線はどこで降りても基本的に1時間に1本の列車が走っているので、ふらりと降りても1時間で戻って来ればよいのだ。また、「塔のへつり」や湯野上温泉など、駅徒歩圏の立ち寄りスポットも非常に多く、ぶらり旅にはうってつけの条件が揃っている。東京から4時間ちょっとという距離も、日常から離れる気ままな旅行というには、絶妙な距離感だ。

▲茅葺き屋根の駅舎で知られる湯野上温泉駅。広い足湯も併設している

さらに、会津線は会津若松で磐越西線に接続しているため、観光ルートに広がりがあるというのも魅力だ。終点・会津若松で城下町風情に触れるも良し、磐越西線に乗り換え、ちょっと足を伸ばして喜多方でラーメン巡りをするも良し、猪苗代で磐梯山の大自然に触れるも良し。磐越西線に乗り換えれば、郡山まで1時間で出られるため、仙台・盛岡・青森方面へも出やすい。また、もう一方は新潟方面へと繋がっているため、日本海側への繋がりもある。

▲会津若松駅で並ぶ磐越西線。左は新潟方面行きの気動車、右は郡山方面行きの電車

そんな会津線に魅せられ、訪れること幾数回。乗り継ぎルートは極力現行ダイヤを踏襲したものとするが、現在ではもう走っていない列車も含め、魅力あふれる会津線の巡り方を紹介しようと思う。今回は、かつて浅草─会津田島間190.1kmを乗り換えなし、特別料金なしで結んだ、快速電車の思い出話。

▲今はもう見られない快速会津田島行き

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「会津線が東京と結ばれるまで」

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