浅草から特急リバティ会津で3時間あまり、ここは福島県南会津郡南会津町の会津田島駅。会津の入口であるこの駅を起点に、会津線巡りの旅に出かけてみよう。
目次
会津線旅行に必携!ゆったり会津 東武フリーパス
まずは、浅草・北千住など、東武線を起点とした会津線巡りの旅に最適なフリーパス、「ゆったり会津 東武フリーパス」を紹介しよう。
「ゆったり会津 東武フリーパス」の設定区間は、会津田島まで、芦ノ牧温泉まで、そして西若松・JR会津若松を経てJR喜多方までの3種類があり、いずれもフリー区間は下今市から先の各駅までとなる。鬼怒川線だけでなく、日光線下今市─東武日光間もフリー区間に含まれるので、日光へ立ち寄ることもできるのが特徴だ。
その他、東武鉄道では日光・鬼怒川地区のフリーパスを数多く発売しているものの、その多くは野岩鉄道線湯西川温泉まででフリー区間が終わっているため、野岩鉄道線全線および会津鉄道全線を含むものは、必然的に「ゆったり会津 東武フリーパス」しかない。
注目すべきはその安さ。JR喜多方まで全線有効のもので4日間有効、7,260円である。浅草─喜多方の普通運賃は片道4,810円するため、往復するだけでも2,360円も得になる。
ちなみに、浅草からの普通運賃は芦ノ牧温泉4,240円、湯野上温泉3,870円となるため、全線有効のものを買っても湯野上温泉までの往復で元が取れてしまう。ただ、湯野上温泉までなら芦ノ牧温泉までのもの(6,790円)で事足りるので、950円の得になる。
使い方としては、周遊型のフリーパスではないため、例えば湯野上温泉や芦ノ牧温泉に2泊3日で宿をとって、中日に会津若松や喜多方を観光して帰るとか、中日にも観光して回りたい向きには、これ以上ないほどお得なものになるだろう。会津線の旅の必携品と言える。
注意点としては、鉄道以外の交通は一切含まれていないため、大内宿や会津武家屋敷などの駅から離れた観光地へは、追加出費がかかること。
阿賀川に沿って谷が拓けていく会津においては、鉄道とバスは同じ川筋に沿って伸びてゆくため、どうしても並行区間が長くなる。そのため、駅から離れた場所へ行こうと思ったら、駅からバスに乗り換えるのではなく、はじめからバスに乗るということになる。こうした背景もあってか、会津線と会津バスを組み合わせたフリーパスは存在せず、また当の会津バスが会津若松市内を除き、フリーパスの類を殆ど発売していないのだ。
また、そのバスにしても観光輸送を主眼としておらず、あくまで生活交通という位置付けのため、観光利用には不向きな時間にしかバスがないこともしばしば。このため、日光・鬼怒川や箱根、秩父のように「これ一枚あればどこでも行ける」訳ではないのが、会津の旅の難しいところだ。ここはもう一歩踏み込み、会津若松市内を含めた、会津バスと提携したフリーパスの登場を期待したいところ。
また、会津線は元々JR線であったため、その名残からかJRのフリーきっぷでも会津線がフリー区間に入っているものがある(例:JR東日本「週末パス」など)。多くの場合有効区間は会津田島─西若松(─会津若松)間のみであり、東武線からの電車が乗り入れ、実質的に東武線の延長として機能する会津高原尾瀬口─会津田島間は含まないことが多い。
これは、東北新幹線から郡山で磐越西線に乗り継ぎ、会津若松から会津入りするのを想定した設定であり、そしてそれの意味するところは大内宿など「会津若松から行ける日帰り観光の足」としてのフリー区間入りであり、東京方面との往復利用にはどうしてもロスが多くなる。「行きは新幹線、帰りは会津線」のような周遊ルートを組むのならともかく、往復とも東北新幹線を利用しての会津線旅行は向かない。
ともあれ、会津線の旅行を楽しむのであれば、「ゆったり会津 東武フリーパス」を買っておいて損はない。高速バスに肉薄する価格にまで下がる上、4日間フリーもつくのだからお得なことは間違いない。
会津田島で浅草からの電車を降り、会津若松行きの気動車へ乗り換え。「ゆったり会津 東武フリーパス」を手に、会津線の立ち寄りスポットへ。実際のダイヤに沿った形で、順番は前後するがご紹介していこう。
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「リレー号で芦ノ牧温泉駅へ」