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【山梨】「道志バスみち」と特急「富士回遊」の行く未来――富士急山梨バス道志線・富士急行線 #49

河口湖駅は外国人の渦

さて、山中湖旭日丘バスターミナルで道志線の乗務員さんの案内通り待つこと17分、11:47に河口湖駅行きがやってきた。例によって結構混雑していて、やはり富士吉田―御殿場間には鉄道があってもおかしくなかった、と感じる。

▲山中湖畔を走る河口湖駅行き

乗務員さんオススメ、ほうとう料理店がある「一之橋」は山中湖旭日丘から4つ目。5分もかからず到着したが、歩けば20分以上かかっただろう。停留所目の前の「浅間茶屋」で山梨名物・ほうとうの昼食をとり、それから山中湖畔を少し歩いた。

▲ほうとう料理店「浅間茶屋」は「一之橋」バス停からすぐ
▲かぼちゃがとろけるまで煮込まれたほうとう。山梨の味だ

二つ先の「山中湖村役場前」から、13:55発の河口湖駅行きに揺られる。朝の疲れが出ていたこともあり、バスの中では寝てしまった。

14:40、河口湖駅着。

▲終点に到着した河口湖駅行き

河口湖駅から河口湖畔までは徒歩10分ほどの距離があり、駅前は大きなバスターミナルと観光客を迎える土産物屋や飲食店で占められており、高原の静けさのような雰囲気はない。

それどころか、次から次へと到着し、出発してゆくバスから流れ、吸い込まれていく人、人、人。決して狭いわけではない河口湖駅前のバスターミナルの歩道という歩道が、外国人観光客で埋め尽くされていた。僕のような日本人観光客は、数えるほどしかいない。

▲外国人観光客ばかりの河口湖駅前

「スシ、テンプラ、フジヤマ、ゲイシャ」の時代ではないにせよ、それでも日本観光といえばやはり富士山。その山容を新幹線の中からではなく、やはり近くで眺めたいという外国人観光客は多かろう。その人波が河口湖駅前に次々とバスや電車でやってくるのだから、そのエネルギーたるや、相当なものだ。

▲河口湖駅に保存されている富士山麓電気鉄道モ1号

堪りかねて駅舎内へ逃げ込むと、ここもやっぱり外国人観光客で埋め尽くされていた。電車やバスを待つ人々の間では、英語だけでない様々な言語が飛び交う。サービスエリアのような広さと雰囲気を持つ土産物コーナーの熱気は特に激しく、限られた時間で良い品を見定めんとする外国人観光客で、心なしか殺気立っているほど。こうも外国人観光客が多いと、ここが日本なのかどうか怪しくなってくる。

▲キャンプ女子に着目した「ゆるキャン△」のコラボ商品が早速

彼らの顔ぶれを観察してみると、ヨーロッパ・アメリカ系の観光客が多く、アジア系はさほどでもない。東京から富士五湖エリアは日帰りしようと思えばできるが、日本国内随一の景勝地とあらば、やはり一泊ぐらいしたいのが人の常。バカンス文化のあるヨーロッパ系の観光客の方が、日程にも余裕があるだろうし、富士五湖エリアも旅程に組み込みやすいのだろう。加えて、富士五湖エリアは名古屋・京都・大阪方面へのアクセスが良いとは言えず、いわゆる「ゴールデンルート」に組み込みにくいということもあり、日程に余裕がない中で来るところではない。それこそ、ただ単に富士山を拝みたいのであれば、新幹線の中からでも十分である。

いやはや、いまの富士山がこれほど外国人観光客で盛り上がっているとは…。量ではともかく、その密度と、外国人の純度では、さしもの京都をも凌駕しているのではないかと思うほどだ。その、活気を通り越して熱気に満ちた河口湖駅からは一旦撤退。偶々見つけた駅近くのカフェに入り、旅の振り返りをしながら、河口湖17:29発の快速山梨富士4号・新宿行きを、のんびりと待つことにした。富士山のように、どっかりと腰を落ち着けて。

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特急「富士回遊」に生まれ変わる快速「山梨富士」

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