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【千葉】流山の歴史と流転を眺めて──流鉄流山線 #61

成熟する平和台

平和台駅から、イトーヨーカドー帰りの高齢者とともに1駅だけ流山線に揺られ、流山駅へ戻った。今度は流山駅から東方へ向かい、TX流山セントラルパーク駅を目指す。なお、「流山セントラルパーク駅」ではいかにも長いので、以下、略称として親しまれている「センパ」ないし「センパ駅」とする。

「流山駅東口」へは、いったん西側(流山本町側)に向いた改札口を出て、駅を跨ぐ歩道橋を渡った先になる。「流山駅東口」という改札口があるわけではなく、流山駅の東側に広がる高台が新興住宅地として開発されたため、この住宅地を示す名称として定着している。流山駅の東側が高台になっており、駅からは高い階段を上がる必要があるが、歩道橋は高台の高さに合わせてあるため、駅を跨いでしまえばほぼフラットに住宅地に繋がっているという、合理的な構造をしている。ただし、住宅地の高齢化が進んでいるものの、エレベーター設置等のバリアフリー対応はなされていない。

その「流山駅東口」へ出ると、「流山駅西口(駅舎前)」にはないバス乗り場をはじめ、西口よりも広いロータリーが整備されていた。旧市街地の真ん中で再整備の余地がない西口に対し、何もなかった高台へ一から街を造った東口の方が、改札口がないこと以外はよほど駅前らしい体裁が整えられている。

ただ、その「流山駅東口」を発着するバスも西口と同様に本数は多くなく、東武バスにより柏駅西口行きが4往復/日、南柏駅西口行きが1往復/日が運行されるのみ。

いずれもセンパ駅、および流山駅から約4kmの距離にある流山運転免許センター付近を経由する。免許センターへのアクセス手段のひとつでもあるが、この本数の少なさではまともに機能しているとは言えず、免許センターのHPでも「柏駅西口からのバス以外は本数が少ないため、柏駅からのバスの利用をお勧めします」と書かれる始末。

バスの本数が少ないのに比例してか、駅前からいきなり住宅地になるために店舗もなく、従って人通りも少ない。この更地にしても、区画整理がようやく終わったということなのか、それとも市街地再整備をこれからやるということなのか、訪問段階では整地が終わったばかりの荒涼とした砂地が広がるばかりであった。

その更地の隣の区画は流山市役所が建ち、更地の向かいは流山市福祉センターと、公共施設が集積する一画でもある。駅前の立地を活かした、商業施設・公共施設+住宅の合築あたりが整備されそうな気もする。いずれにせよ、TX駅ばかりでなく、流山駅付近でもきちんと地域の整備が行われているということであり、決して流山線が見捨てられているわけではないのだ。

その更地の一画を過ぎると、流山平和台の住宅地が広がる。流山平和台はかなり広く、平和台一丁目・二丁目付近は、平和台駅でなく流山駅が最寄りとなり、市役所も平和台一丁目に位置する。三丁目・四丁目は平和台駅、五丁目は流山駅・平和台駅から最も遠い奥側となるが、その最も遠かった五丁目の目の前に、今度はTXセンパ駅ができた格好である。

TXセンパ駅へは、流山駅東口から東へ1.3km、徒歩15分といったところ。通りの名はないが、両側歩道付きの二車線道路で駅と駅が直接結ばれる。しかもセンパ駅は高架駅であるにもかかわらずロータリーで行き止まりとなっており、流山駅東口ロータリーと、センパ駅西口ロータリーが一本の通りで結ばれている形。ここまで整っているのはなかなか珍しい部類と言える。

流山平和台住宅は1970年代に開発が始まった、ごく標準的な郊外型住宅地。ただ、この手の住宅地は、常磐線沿線であれば駅からバスか徒歩15分以上を要するロケーションであるところ、流山線ならば駅の近くに構えられる。馬橋での乗り換えは必要だが、電車を降りればすぐ目の前が戸建ての住宅地という環境は、戸建て派には魅力的だっただろう。

流山駅からはセンパ駅に向かって、緩やかな上り坂が続く。その坂の中腹あたりに、流山駅から10分も歩かないところに早くも「流山セントラルパーク駅 直進↑」という標識が現れ、かなり流山駅寄りのエリアまでセンパ駅が侵食している様子が見て取れた。そして、開発から40年を経た住宅地にしては新しい住戸が多く、新駅の開業が既存の住宅地にも新陳代謝をもたらしている様子が窺えた。

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「伸びゆく”センパ”」

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