東北・北海道

【北海道】成長著しい「学園都市線」、命脈尽きる開拓の星「札沼線」──JR札沼線(学園都市線) #50

「札沼線」の起点、石狩当別

石狩川橋梁を渡り終わると、札幌市から当別町に入る。それと共に、窓に広がる景色も、それまでとは打って変わって、右も左も広大な農地が広がるようになる。

▲昔ながらのY字ポイントが残る石狩太美

農地のただ中に、ややまとまった市街地が浮島のように浮かんでいる石狩太美いしかりふとみで、上り札幌行きと交換。石狩当別駅が3番線までしかなく、折り返し列車が錯綜しないように、一つ手前の石狩太美での交換が多く設定されている。農地の真ん中とはいっても、当別町の拠点の一つに変わりはなく、また石狩当別駅と違って日本海側(石狩市望来・厚田、増毛町、留萌市方面)へと主要道路(道道81号〜国道231号日本海オロロンライン)がダイレクトに繋がっているため、日本海オロロンラインを南下してくる車にとっては、パークアンドライドができる最北の地点となるという一面も持つ。このため駅勢圏が広く、乗降客数は約2,000人/日と、景色の長閑さとは裏腹に、札幌市内の太平・百合が原といった小駅よりも多い。

▲どこまでも続く直線をひた走る

農地と雑木林のなかを、一直線に進んでいく。駅間距離も長くなり、札幌市内は1〜2kmだったところ、石狩川橋梁を挟むあいの里公園─石狩太美は一気に4.2km、石狩太美─石狩当別は更に長くなって6.4kmとなり、ここまで来るとまさに「でっかいどう」という感じ。

当別町は学園都市線の成長に伴って札幌のベッドタウンとして発展しているというが、ベッドタウンとなっているのはあくまでも石狩太美・石狩当別の駅付近に限っての話のようで、ひとたび駅を離れると、あっという間に広大な農地になるというのは、北海道特有の景色のように思う。ロングシートの窓辺に肘をついて、いかにも北海道らしい景色を眺めているのは、本当にミスマッチ。

▲当別町市街地が見えてきた

そして札幌から27.5km、39分経った7:18に、石狩当別へ到着。言わずもがな当別町の中心地で、駅前には中層のマンションも構える。片面ホームの1番線へ到着し、折り返し札幌行きとなった。目指す新十津川行きへは、階段を渡って3番線へ乗り換え。この乗り継ぎの場合、6両編成の後ろ寄り(札幌寄り)か真ん中あたりに乗っておくと、ちょうど階段の前に着くようだ。

▲直線の1番線へ到着する

電化区間は一つ先の北海道医療大学まで続くが、札幌口の電化区間「学園都市線」と、道央のローカル線に過ぎない「札沼線」の実質的な境目として機能するのはここ石狩当別。札沼線の気動車で北海道医療大学止まりとなるものはなく、すべて石狩当別まで乗り入れる。電車と気動車に分かれた今はともかく、ICカードKitacaが使える学園都市線区間と、整理券式ワンマン運転となる札沼線区間では車両の仕様も大幅に異なるため、学園都市線の電化前から、同じ気動車であるにもかかわらず石狩当別で乗り換えとなる場合が多かった。

石狩当別・北海道医療大学までは20〜60分間隔で電車が走るが、ここから先は石狩月形・浦臼折り返しを含めても7.5往復/日(下り8本・上り7本、上り回送1本)の過疎区間となる。学園都市線電車から札沼線列車への接続は概ね10分前後となっており、石狩当別を跨ぐ利用にも配慮されている。特急優先のために普通列車同士の接続が悪い函館本線の岩見沢や滝川よりも、却って学園都市線・札沼線の方が普通列車しか走らないため、普通列車の旅をする上では便利というのも、不思議な感覚ではある。

さて、1日1本しか走らない新十津川行きは7:45発と、27分の接続待ち。1本あとの札幌6:58発でも7分接続なので、本来であれば札幌6:58発が所定の接続列車となるのだが、この日は土曜日。観光客でいっぱいである可能性も考慮し、1本早い列車に乗っておいたのだ。

予想は当たり、1両きりのキハ40形はボックスシートが既に埋まっていた。やむなくロングシートの一番ボックスシート寄りの部分に腰を下ろし、取り敢えずのポジションを確保。報道が出る前でこれなのだから、「1日1本の新十津川行き」は、それ自体が大きな観光資源となっているようだ。

* * *

次回は、いよいよ札沼線の廃止予定区間へ。

(つづく)

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