九州・沖縄

【沖縄】どちらに乗る?石垣空港から離島ターミナルへ──東バス④⑩空港線 #68

白保・宮良・真栄里・・・集落を縫って

9:45、石垣空港発。空港を出ると、国道390号の取り付け部分にある「空港入口」停留所を除き、4.3km先の「白保」まで停車しない。

現在は空港線の途中経由地となった白保地区であるが、この白保と石垣市街を結ぶ区間は、新石垣空港が開港する前から石垣島で最も交通量が多い区間であり、かつての「白保線(バスターミナル─白保終点)」は30分間隔で運転されていた。その白保線の系譜を継ぐのが「④系統:平得・大浜・白保経由空港線」で、石垣市街地の経路が若干変更された以外は旧・白保線と基本的に同一である。

それに対し、「⑩系統:アートホテル・ANAインターコンチネンタルホテル経由空港線」は、バスターミナルと旧・石垣空港を循環運行した旧・空港線を再編したもの。旧・空港線はバスターミナル─ホテル日航八重山(現・アートホテル石垣島)─旧・石垣空港─全日空ホテル&リゾート(現・ANAインターコンチネンタルホテル)─バスターミナルを循環運行し、両周りとも40分間隔(=バスターミナル〜旧・石垣空港間は合わせて20分間隔)だった。空港の移転に伴う経路再編により、バスターミナルを出発したのち、独自区間だったアートホテル石垣島、ANAインターコンチネンタルホテルの2ホテルを経由し、後は④系統と同じ経路で石垣空港へ至る経路となった。

これにより、空港と2ホテルを結ぶという役割を旧・空港線から引き継ぐと共に、メインとなる④平得・大浜・白保経由空港線を補完し、石垣市街地と空港を結ぶ役割をも担っている。このような場合、④と⑩を統合してしまう例が多いものの、東バスではどちらも並存させ、どちらも空港へ乗り入れるようにしたことで、 市街地─空港間を15分間隔としたのは、強い攻めの姿勢と言えよう。

白保地区の中に入り、「白保小学校前」で1名オバアが乗車。国道390号はこうした集落内を走る区間は家々が建て込んでおり、道幅も狭い。新空港が開港して若干改修されたとはいっても、実態としてはローカル国道である。このため、白保・宮良みやら・大浜地区をバイパスする「新石垣空港アクセス道路」の建設が進められており、2020年3月の開通を予定している。こうした集落内の停留所に対する需要が関係ない直行系統はこちらに移行するものと思われ、石垣空港エアポートバスのさらなる再編があるのかもしれない。

白保地区に続く宮良地区に入り「宮良橋みやらばし」でお兄さんが1名乗車。停留所のすぐ先にある宮良橋で宮良川を渡る。宮良川は石垣島最大の河川で、河口付近の汽水域には大規模なマングローブ群落が広がっていることで有名だ。

宮良橋を渡った先の「宮良団地前」で、石垣空港から乗っていた1名が降りた。バスが止まってから座席を立ち、緩慢ながらも両替を済ませ、小銭と整理券を投入して降りていった。慣れている様子だったので、地元の人だろう。石垣空港からの直行ではこうした需要を拾えず、途中停留所が多い東バスならではの乗客といえる。

1967年まで大浜町役場があった大浜地区(石垣島東部を占めていた。大浜町の石垣市への合併を以て石垣島全てが石垣市となった)はやはり家々が建て込んでいるが、その大浜地区を過ぎて真栄里地区へ入ると、片側一車線であるのは変わらないが道幅が広がる。

真栄里地区はかつて大浜町に属し、2013年まで旧・石垣空港が存在した地であり、現在は空港跡地を中心とした再開発が進んでいる。1996年の沖縄県八重山支庁(2011年に八重山合同庁舎へ改称)を皮切りに公共施設の集積が進んでおり、2018年の沖縄県立八重山病院が空港跡地へ移転開業。2021年の石垣市役所の空港跡地移転を控え、今の石垣島で最も勢いのある地と言えるだろう。それにしても、旧石垣市外である真栄里地区に、八重山を代表する市役所や県立病院が移転してくるとは、石垣市街地のあり様の変化を感じずにはいられない。それほどまでに、旧大浜町と石垣市街地の一体化が進んでいる。

ただ、このバスから大浜地区、真栄里地区での乗降はなかった。⑩系統はその「八重山支庁前(※『八重山合同庁舎前』には改称されていない)」を出てすぐ左折、国道390号を離れて海岸べりにあるANAインターコンチネンタルホテルへと立ち寄る。

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「二大航空会社のホテルへ寄り道」

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