九州・沖縄

【沖縄】西表島の秘境-船浮への入口、白浜港へ──西表島交通バス #71

前回に引き続き、西表島交通バス豊原発白浜行きの模様をお伝えしよう。

【1日目】品川5:15─(京急線快特羽田空港行き)─羽田空港国内線ターミナル5:32…羽田空港第2ターミナル6:10─(NH89便 ANA石垣空港行き)─石垣空港9:30…石垣空港9:45─(東バス10系統バスターミナル行き)─石垣港離島ターミナル10:20/11:00─(安栄観光西表島大原航路・大原港行き)─11:35/12:18─(西表島交通バス・豊原行き)─豊原12:23/13:40─(西表島交通バス・白浜行き)─白浜15:23/15:45─(西表島交通バス・豊原行き)─浦内16:02

※画像は必ずしも乗車中に撮影したものとは限りません。悪しからずご了承ください。

船浦橋が繋いだ西表東部-西部

西表東部地域に属する「ホテルパイヌマヤ前」(高那たかな集落)から、西表西部地域となる次の「船浦ふなうら」までは、途中の「大見謝おおみじゃロードパーク」を挟んで、約15km離れている。集落と集落の間の距離としては西表島でもっとも離れており、ここを境に東部と西部が分かれるのも道理。

人煙稀な地域を行くだけあって、イリオモテヤマネコの出没も多いようで、ヤマネコ注意の標識も数多く設置されている。なかには移動式のもの(“○月○日○時頃出没しました”というもの)や、速度を落とさせるためのカラー舗装・バンプの設置がなされた箇所もある。

西表島内はヤマネコをはじめとした野生動物保護のため、最高速度が40km/hに規制されている。ヤマネコを発見してもギリギリ止まれる速度というわけだ。しかし、そもそもの交通量が少ないという事情もあってか、40km/h制限は必ずしも守られてはいない。イリオモテヤマネコの生息数は100頭前後とされているが、残念なことに、こうした数々の保護策が打たれているにも関わらず、イリオモテヤマネコが交通事故に遭うことが後を絶たないのだという。ヤマネコの話については、野生動物保護センター見学の頁にまとめることとしたい。

西表東部地域と西部地域は、船浦湾によって隔てられているといってもよいだろう。西表島を貫く県道215号白浜南風見線のうち、最後まで不通区間として残っていたのがこの船浦湾を跨ぐ区間であり、船浦湾を跨ぐ「船浦橋」が架かり、東部と西部が結ばれたのは1976年のこと。船浦湾は干潮時には陸地となる干潟であることでも知られ、トビハゼやシオマネキといった干潟に暮らす生き物たちの宝庫でもある。そうした事情から、船浦湾を全て締め切ってしまうことはせず、埋め立て(海中道路)は大見謝側・船浦側からそれぞれ半分程度とされ、中央の開口部を船浦橋で跨ぐ構造となっている。

その船浦橋からは、船浦湾へと注ぐ数多の流れが望め、その奥には島の中央部の崖から低地へと一気に落ちる滝も散見される。もっとも目立つのは、華厳の滝を彷彿とさせる細く一本に落ちる「ピナイサーラの滝」である。その滝つぼから船浦湾へと注ぐのが、マングローブ群落を形成するヒナイ川というわけだ。

船浦橋を渡りきると、高那集落から15kmぶりの集落、船浦集落となる。その名の通り船浦湾の西部に形成された集落で、その名の通り、かつては石垣航路が発着する港町であった。しかしながら、山が海に向かって一気に落ち込む斜面に形成された集落であり、平地に乏しかったこともあって、発展の余地が少なかった。そのため、徐々に西表西部の玄関口としての機能は隣の上原港へ移り、2006年に浮桟橋および旅客ターミナルが完成したこともあって、石垣航路は完全に船浦港から上原港へと移転することとなった。

現在の船浦港は純然たる漁港となったが、安栄観光の西表西部送迎バス(前回記事参照)が、上原港─白浜間の経路からは外れるものの、船浦集落にもわざわざ寄り道する設定になっている点に、名残があると言えるだろう。なお、八重山観光フェリーの送迎バスは船浦には寄らないため、注意を要する。その船浦では民宿が多いのか、結構な乗降があった。

(次ページ)
上原港と西表西部地域を結ぶ

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