九州・沖縄

【沖縄】日本最南端・豊原バス停から始まるバスの旅――西表島交通バス #70

日本最南端のバス停・豊原。現在は静かな浜辺の集落であるが、かつて豊原はマラリアの脅威と戦いつつ、入植者たちが希望を胸に開拓に励んだ地であった。開拓の島・西表島の歴史に思いを致しつつ、バスは白浜へ向かい出発する。

【1日目】品川5:15─(京急線快特羽田空港行き)─羽田空港国内線ターミナル5:32…羽田空港第2ターミナル6:10─(NH89便 ANA石垣空港行き)─石垣空港9:30…石垣空港9:45─(東バス10系統バスターミナル行き)─石垣港離島ターミナル10:20/11:00─(安栄観光西表島大原航路・大原港行き)─11:35/12:18─(西表島交通バス・豊原行き)─豊原12:23/13:40─(西表島交通バス・白浜行き)─白浜15:23/15:45─(西表島交通バス・豊原行き)─浦内16:02

人口は多いが空港がない西表島

石垣港離島ターミナル11:00発→西表島大原港11:35着の安栄あんえい観光フェリーで、東京・品川駅から6時間20分、やっとこさ西表島に上陸。「日本最後の秘境」だけあって、上陸するだけでもダテじゃない。

西表島は沖縄県第2位の面積を持つだけあって、人口2,400名と八重山の離島群の中では最も多くの人口を持つものの、石垣港とを結ぶ定期航路が充実しているだけあって、空港がない。そのため、石垣空港に降り立った西表島への渡航客は、バスに30〜40分揺られて石垣港離島ターミナルへ移動し、さらに高速船に揺られること35〜50分かかってようやく西表島に辿り着く…ということになり、石垣空港から計90分前後を要する。

石垣空港から直接航空便で結ばれる与那国島(人口2,100名)は、フライトタイムで言えばちょうど30分。175kmもの距離があるが、30km先の西表島よりも、時間だけで言えばよほど早く着いてしまうのだ。与那国空港からは県都・那覇空港への”直行便”(現地ではこう呼ばれている)も1日1便あり、空港を活かした高速交通ネットワークが構築されている。

西表島よりも人口が少なくても空港を有する離島は多く、先島諸島の中でも波照間はてるま島(人口450名)、多良間たらま島(人口1,150名)などが該当する。しかし、西表島はその特異な自然環境故にリゾート開発への抵抗感が根強いことや、平地に乏しく空港建設の適地がないといった事情から、空港建設が浮上したことすらない。

さらに、沖縄戦の中にあっても、西表西部の入り組んだ地形が海軍の手によって要塞化されたことはあったが(=船浮臨時要塞)、臨時の飛行場すら西表島には設けられなかった。鬱蒼と茂るジャングルに加え、海岸近くまで崖が迫る地形である西表島の環境は、身を隠すのにうってつけの環境ではある。そこに飛行場などを造ってしまえば、上空を飛ぶ敵軍機に「ここに潜伏している」というメッセージを発してしまうようなものだ。そうしたこともあって、西表島に飛行場が造られることはなかった。

沖縄の空港は、戦時中に設けられた軍の飛行場を基にしていることが多い(与那国空港、多良間空港、旧石垣空港など)。戦時中に空港が設けられなかったことが、今なお西表島に空港がない背景の一つとなっているのかもしれない。

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