港のまち、佐世保
僅か6分間の”或る列車”との邂逅を果たし、早岐を出発。進行方向が変わるが、終点佐世保までは9分しかないので、殆どの乗客は座席を回転させず、逆向きのまま座っている。早岐〜佐世保間は特急ながら特急料金不要の特例が適用されるため、高校生も乗り込んできた。大塔(だいとう)を通過し、最後の通過駅・日宇(ひう)を通過する前、進行方向左手にジャパネットたかたの大きな建物が見えるが、ここがテレビCMにも出てくる住所(長崎県佐世保市日宇町)で間違いないだろう。ジャパネットたかたは今や佐世保を背負って立つ大企業である。
次第に長崎らしい斜面にへばりつく市街地が広がってきて、線路も高架に上がると、博多から1時間54分を経た18:25、特急みどり19号はJR最西端の終点・佐世保に到着する。
隣駅が片方しかないのは終着駅の証拠
船の帆を思わせる上屋が印象的。高架駅ながら開放的な造り
平地が限られる佐世保らしく、高層マンションが駅を囲む
一旦正面口に背を向け、海側の「みなと口」から出る
ここがJRの西の果て。しかし鉄路はまだ西へと続く
駅を出るとすぐ港。離島行きのフェリーターミナルは目の前
かつての鉄道のヤードが再開発されていた
西九州道の高架をくぐると、改札口から2〜3分程度でもう岸壁である。これほど駅と港が近い駅というのも珍しいように思う。佐世保は鉄道連絡船が就航していたわけではないので、函館、青森、高松のように岸壁と直角にぶつかる形ではなく、岸壁と駅がほぼ平行。貨物の積み替えをメインにした構造だったのだろう。今ではみなとみらい21の街区が広がり、岸壁までは遠くなってしまったが、かつては横浜の桜木町駅もこんな感じだったのだろうか。港らしくボラード(船を係留するロープを掛けるための杭)に腰掛け、駅ナカの「ログキット」で購入した佐世保バーガーを開く。
佐世保バーガーを港で頂く。これぞアメリカ文化がもたらしたものだ
海風を受けながら頬張る佐世保バーガーは格別。
ふと遠くに目をやると、汽笛を鳴らしながら、離島からやってきたフェリーが入港してきた。佐世保は、今も昔も活気ある西の港町なのだ。
(つづく)