関東

【茨城】現代に生きるミニ鉄道──関東鉄道竜ヶ崎線 #43

全線1閉塞のミニ路線


佐貫を出ると25km/h制限、次いで40km/h制限の急カーブで、常磐線から離れていく。

カーブを抜けるとあとは終点・竜ヶ崎までほぼ直線のため、最高速度まで加速する。…といっても最高65km/h程度なので、最高90km/hの常総線よりもスピードはだいぶ抑え目だ。

佐貫を出て2分程度、道のりにして徒歩15分程度のあたりで家並みは途切れ、農地が広がり始める。やはり駅徒歩圏の市街地は徒歩15分程度の広がりが限度なのだろう。住宅街が終わるあたりに新駅を設けても、30分間隔前後の運転では結果的に佐貫駅まで歩いてしまっても同じくらいであり、初乗り運賃を払ってまで竜ヶ崎線に乗る人はごく少ないだろう。実際、佐貫―入地間にあった中間駅、南中島駅は1957年に廃止されている。

農地からややまとまった集落に入ると、佐貫起点2.2kmの唯一の中間駅・入地に着く。全線4.5kmなので、本当に中間地点にある。1面1線の無人駅だが側線の跡が見られ、かつてはここで行き違いをしていたのではないかと思われる。1名下車し、ICカードをタッチして下車していった。当然、乗車は無し。ワンマン運転ではあるが全扉が開き、運転手のチェックは経ているようには見えない。佐貫も無人、入地も無人、運転士によるチェックも無しでは無賃乗車もいるのではないかと心配になるが、佐貫が無人なのは日中時間帯のみであり、1本の列車に1名いるかいないかの入地利用者のためだけに、佐貫へ駅員を配置するのも非効率ではある。

入地を出ると再び農地が広がる。ところどころに第4種踏切(警報機・遮断機共になし)も見られ、キハ2002号は警笛を鳴らして駆け抜けていく。さすがに第4種踏切となっているのは農地の真ん中の踏切くらいで、ここを通るのは農耕車くらいしかないだろう。道路と交差する踏切はほぼ第1種踏切(警報機・遮断機あり)で、全方位警告灯に取り換えられているところもある。このギャップが面白い。やや大きい県道と斜めに交差すると、龍ケ崎市街地は近い。この県道と交差するあたりに門倉駅があったはずだが、やはり南中島駅と同様に1957年に廃止されている。

我孫子市布佐地区および牛久市方面へ向かう県道4号の大きな陸橋をくぐるとスピードを落とし、まもなく終点・竜ヶ崎。

もとは踏切だったであろうこの陸橋の直下には転回場も設けられており、ここに駅を造れば、各方面へのバス連絡がよりスムーズになりそうな気もする。竜ヶ崎駅と0.5km程度しか離れていないが、常総線には西取手―寺原間(0.5km)や新取手―ゆめみ野間(0.8km)など、1kmを切る駅間もあるので、駅間が短すぎるということもなさそう。現状は竜ヶ崎駅から徒歩15分程度かかる龍ケ崎市文化会館や中央図書館、それに初代龍崎鉄道4号機関車を展示する龍ケ崎市歴史民俗資料館といった公共施設が集積するあたりへも徒歩7分程度となり、竜ヶ崎線の利用促進にもつながるだろう。この新駅案については後述する。

竜ヶ崎駅手前には小さなショッピングセンターがあり、線路をまたいだところに駐車場がある。駐車場とショッピングセンターを結ぶだけの歩道橋があるのが興味深い。その歩道橋をくぐると、小さな車庫へのポイントが右へと分岐していく。竜ヶ崎線の分岐器はこの本線と車庫を分かつ1か所と、車庫内の2か所の計3か所のみ。

起点の佐貫ですら棒線であり、常磐線との連絡線もない。途中の交換設備はなし、分岐器も竜ヶ崎駅構内の3か所のみという、まるで鉄道模型の線路のような、ここまでシンプルな設備しか持たない鉄道路線は非常に珍しい。竜ヶ崎線のほかにはケーブルカーくらいしかないだろう。

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「昭和の面影を残す…竜ヶ崎駅」

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