沖縄本島のバスといえば、「遅い」「遅れる」「複雑」といった、マイナスイメージがどうしてもつきまとう。そこで沖縄県が本腰を入れて取り組んでいるのが、バス路線網の大胆な改革。その中でも目玉となるのが、那覇─コザ間を最速54分で結ぶ「急行バス」の運転である。
期待を背負う那覇-コザ急行バス
急行バスについては過去記事(下記URL参照)でも触れているが、実際に乗るのは今回が初めて。
ご覧のように、急行は停車停留所を絞り込んでおり、特に那覇市内最後の上之屋から第二城間までは9停留所連続通過という飛ばしっぷり。沖縄市街でも連続停車になるのは中の町・胡屋のみで、中心部の嘉間良・安慶田も通過である。中でも【23急行】具志川線はコザから先も全区間急行運転であり、コザから各停となる【331】【777】に比べても速さが際立っている。
ただ、本数は【23急行】【331】【777】の3系統合わせて12往復(各4往復)と多くなく、平均1時間1本ペース。時間帯も午後以降に偏っており、主に夕方~夜間の帰宅の足のサービスアップとしての側面が強いように見受けられる。特に朝9時までに那覇へ到着するものは泡瀬営業所6:05→コザ6:21→那覇バスターミナル7:24着の1本のみで、通勤・通学のピーク時は外した設定となっている。
これは、沖縄本島の背骨たる国道58号が慢性的な渋滞となっており、左側1車線をバス専用道路にするのが精いっぱいで、急行運転を行う余裕がないという事情もあるだろう。バスが実質的に1車線しか使えないのであれば、すべて各停としても同じことである。
また、1本ごとの所要時間のずれも大きく、最も早い【331】那覇20:00発・【777】那覇21:00発はコザまで55分で結ぶものの、最も遅い【777】那覇17:36発は1時間11分と、16分もの開きがある。道路渋滞を織り込んだ設定と思うが、同じ急行と思って乗り込んでも、16分もの時間差があるのは注意しておかなければならない。もっとも、急行が遅い時間帯は軒並み各停も遅いのであり、どのみち急行に乗った方が早いに決まっているのだが。
(次ページ)
新装!那覇バスターミナル