東北・北海道

【北海道】成長著しい「学園都市線」、命脈尽きる開拓の星「札沼線」──JR札沼線(学園都市線) #50

2020年5月7日、北海道からまたひとつローカル線の灯が消える。そのことが意味することは何なのか、単なる「過疎」で片付けてしまってよいものなのか。

ブログ「駅事務室」を開設して50回となる節目の今回は、北海道編。これまでの記事を多くの方々にお読み頂いたことに感謝申し上げると共に、これからも変わらず鉄道・バスの旅を通し、様々なことを見聞きし、綴っていきたいと思う。

北海道から消えゆくローカル線

JR札沼線さっしょうせん(学園都市線)北海道医療大学(石狩郡当別とうべつ町)―新十津川しんとつかわ(樺戸かばと郡新十津川町)間47.6kmの廃止にあたり、沿線自治体となる当別町、樺戸郡月形つきがた町、樺戸郡浦臼うらうす町、そして新十津川町の4町長とJR北海道が2018年12月20日に合意、翌12月21日にJR北海道が国土交通省へ廃止を届け出たことで、この区間の廃線が確定した。

JR北海道は、国鉄の経営再建および1987年の国鉄分割民営化に伴う廃線のほかにも、江差えさし木古内きこない―江差間42.1km(2014年)、留萌るもい本線留萌―増毛ましけ間16.7km(2016年)など、2010年代に入ってからも廃線となる路線が相次いでいる。今年2019年には石勝せきしょう線(夕張支線)新夕張―夕張間16.1kmの廃線が決まっているほか、札沼線北海道医療大学―新十津川間47.6kmも2020年の廃線が確定。さらに日高本線鵡川むかわ様似さまに間112.0kmが台風で甚大な被害を被ったために2015年から運休中であり、復旧にかかる費用負担を巡って議論が続いているために、運転再開の目途は立っていない。それどころか、運休から4年が経つうちに線路の荒廃が進んでいるというニュースが報じられ、この区間の廃線は既定路線となりつつある(被害が軽度だった鵡川―日高門別ひだかもんべつ間20.8kmについては復旧を検討中)。

北海道でローカル線の廃線が加速しているのは、鉄道が社会構造の変化に対応できず、鉄道が人の流れに合わなくなってしまったことが最大の要因だろう。北海道の鉄道は、農地の開拓と石炭輸送のために敷設された路線が多く、これらは産地と、函館・室蘭などの積出港を最短経路で結ぶことに特化している。このため、現代北海道の中心たる札幌へは遠回りになっていたり、線路が集落から離れていて駅が利用しにくかったりと、旅客輸送には不向きなことが多い。炭鉱の閉山やトラック輸送の伸長によって貨物輸送が衰退し、都市間を高速で結ぶ特急列車を中心とした旅客輸送が屋台骨となっている今では、こうした産業路線に出自を持つ路線が役目を終え、次々に廃線となっているのが現状である。

そうした意味では、江差線、留萌本線(留萌―増毛)、石勝線夕張支線、日高本線(鵡川―様似)のいずれも札幌への直通列車はなく、旧来の産業鉄道の域を脱しない路線ばかりだった。しかし、札沼線はその名の通り札幌を起点とし、廃線が既定路線となるつい最近まで札幌までの直通列車があるなど、他の路線とは一味違う環境にあった。そうした中で、なぜ廃線が決定するに至ったのだろうか。190万都市札幌に繋がる鉄道でありながら、北海道医療大学―新十津川間47.6kmは、札幌都市圏に貢献する鉄道たりえなかったのだろうか。その疑問に迫るべく、ほぼ土日のみの強行軍ながら、札幌を訪れることにした。

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「学園都市線」と「札沼線」

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