九州・沖縄

【沖縄】西表島、波照間島、与那国島…さいはての島・八重山への旅立ち──ANA89便:羽田─石垣線 #67

波照間航路を主軸に旅程を編成

10連休とはいえ、限られた日程の中で効率的に離島を巡る(アイランド・ホッピング)のは、なかなか旅程を組むのに難儀した。今回は、バスが走る石垣島・西表島・与那国島のほか、波照間島・由布島ゆぶじまを訪れた。その中で特に難しいのが、あまりに遠いため航空での移動が一般的な与那国島に次いで石垣島から遠い、波照間島への渡航である。

▲波照間島・ニシ浜。その透明度の高い海と白い砂浜は「世界で最も美しいビーチ10選」にアジアで唯一選ばれるほどだ

波照間島は、石垣島から55km離れた、人口500名弱の小さな島だ。公共交通機関は存在しないが、今回この島を訪れることとしたのは、この島が「有人島日本最南端の島」であるという、その一点に尽きる。日本最南端の地は沖ノ鳥島(東京都小笠原村)であることは地理の教科書にも載っているが、沖ノ鳥島は無人島であるため、一般人の渡航はできない。そのため、波照間島は一般人の渡航が可能な地点においては、最南端なのである。波照間という島の名も、果て・うるま(サンゴの島)という意味合いの琉球語の当て字。琉球王国の支配が及ぶ中ではもっとも王府・首里から離れた場所のひとつであり、罪人の流刑地でもあったという。

▲石垣島と波照間島を結ぶ高速船「ぱいじま2」

その波照間島へは、安栄あんえい観光による波照間航路(石垣港─波照間港)が唯一のアクセス手段。高速船「ぱいじま2」ほかが3往復/日・貨客船「フェリーはてるま」が3往復/週(火・木・土、第2・第4金)の運航である。しかし、波照間航路は石垣港発着の各航路の中で唯一外洋に出て、かつ海流の激しい海域を通過するため、欠航率が高いことでも有名である。台風シーズンには欠航率が50%を超えることもあり、まさに困難が伴う渡航になるというわけだ。

▲「フェリーはてるま」に積載される安栄観光のコンテナ(波照間港)

そうした中で、少しでも到達の可能性を上げる方策として、貨客船「フェリーはてるま」の利用が挙げられる。貨客船は高速船と違い所要時間が余計にかかり、揺れも激しいものの、その分船体が安定しているため、高速船が欠航しても貨客船は運航する場合もあるという。その貨客船が週3往復のため、まずはその運航日を波照間へと割り当てた。

10連休は4/27(土)〜5/6(月)。4/27(土)の初日から八重山訪問を始めたとすると、まず4/27(土)の貨客船には東京からでは間に合わないため、次の運航は4/30(火)、その次は5/2(木)となる。よって、4/30(火)〜5/2(木)の2泊3日を波照間へ振ることとした。

そして、広大であり探索に体力が要る西表島に4/27(土)〜29(月)の前半2泊3日を振り、波照間渡航の前日・4/29(月)は一旦石垣へ戻る。そして4/30(火)〜5/2(木)を波照間で過ごし、5/2(木)は石垣へ戻ったのち、昔ながらの琉球諸島の姿が残る竹富島泊。翌5/3(金)は石垣へ戻り、最後の5/4(土)はRAC(琉球エアーコミューター)の航空便で石垣から飛び、与那国島泊。翌5/5(日)に再びRACで石垣へ戻り、そのまま東京へ帰る旅程を組んだ。

しかしながら、10連休を利用するからには最繁忙期もいいところ。宿の確保に難渋することとなり、ここでも課題となったのが波照間泊である。波照間島には大手資本のリゾートホテルの類は全く無く、昔ながらの民宿が宿泊の受け皿である。そしてその予約手段は2〜3ヶ月前からの電話予約に限られ、ネット予約や旅行代理店での予約は受け付けないところが多い。このため、観光シーズンを前にした時期には各施設への電話が殺到し、その電話合戦に打ち勝った者だけが波照間島泊を叶えることができるのだ。

▲波照間島・高那崎に建つ「日本最南端の碑」

私も電話予約に挑戦したが、3ヶ月前・朝8時の受付開始から電話をかけ続けたものの、全く繋がらなかった。夕刻になり、漸く繋がった頃には17組のキャンセル待ちとなっており、この時点で波照間泊は不可能に近かった。そのため、波照間訪問は日帰りを軸に調整し、石垣市内で代わりの宿を探すこととした。ちなみに、波照間島では野宿、キャンプなどは一切禁止である。宿が取れなかったら、石垣島へ帰らなければいけない。

噂話の域を出ないが、波照間島の民宿には固定ファンが付いているため、来年の分の予約を帰るときに入れてしまうとか、常連客だけは前倒しで予約を受け付けてしまうとかの噂がある。ともかく、電話予約ができたとしても、石垣まで行かなければ船が出るかどうかわからず、そして好天に恵まれるかどうかもわからないという、わからない尽くしの旅となるのが波照間島なのだ。渡航に困難が伴う上、宿を取るのも困難とあっては、幻の島と言っても過言ではない。渡航や宿泊に困難が伴うからこそ、昔ながらの離島の生活が息づき、それが観光客を魅了する要因にもなっているのであるが。

なお、フェリーを運航する安栄観光・八重山観光フェリーでは、こうした離島周遊客向けに「アイランド・ホッピングパス」を発売している。有効期間の長短のほか、波照間航路あり/なしでも値段が分かれるあたり、波照間航路の難しさを象徴していると言えるだろう。なお、このパスはあくまでアイランド・ホッピング、つまり石垣港周辺に宿を取り、日帰りで島々を訪れることを前提としている(離島同士を結ぶ航路が殆どないので、石垣港周辺に宿泊するのが最も便が良い)ため、2泊3日で離島に滞在する日がある=フェリーに乗らない日があると、元が取れない設定になっている。また、悪天候で欠航したり、満員で乗れなかったりしても、当然その分の返金などはないため、リスクもある。

今回は、西表島で2泊3日の滞在を予定していたため、アイランド・ホッピングパスは利用せず、その都度乗船券を購入することにしたが、煩わしいことに変わりはない。おまけに、八重山諸島としても石垣市に集中する宿泊客を竹富町などへ分散したい意向を持っているにもかかわらず、「離島に宿泊したい」という要望に応えるフリーパスの設定がないのは問題だろう。この辺りについては、おいおい纏めることとしたい。

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「繁忙期の航空は代理店で予約!」

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