前回は、かつて浅草─会津田島間190.7kmを乗り換えなし・特別料金なしで結んだ快速列車の思い出話しであった。今回は、かつての快速会津田島行きの代替列車を乗り継ぎながら、現代の会津へと辿ってみよう。
※本記事の写真は過去複数回の訪問で撮影したものを組み合わせているため、記事中の時系列と必ずしも合致するものではありません。
特急でも特急券不要?の難しさ
かつて会津への一番列車として走った、浅草6:20発快速33列車:会津田島行き(会津田島9:45着)。現在は特急リバティ会津101号に代替され、浅草6:30発→会津田島9:45着となり、快速時代に比べ10分のスピードアップとなった。しかし、10分短縮のために特急料金2,110円がかかるのは、リクライニングシートの快適性込みとはいえ、幾ら何でも高いように思う。
特別料金不要の一般列車は、浅草5:58発区間急行南栗橋行き〜南栗橋7:01着/7:02発急行東武日光行き〜下今市8:07着/8:15発特急リバティ会津101号〜会津田島9:45着の乗り継ぎで代替され、22分の繰り上げと、南栗橋・下今市での2度の乗り継ぎを要することとなった。
下今市で結局特急リバティ会津に乗り継ぐことになるのだが、下今市─会津田島間の乗車に限っては特急料金不要とする特例があり、乗車券だけで利用できる。ただし、浅草方面からの通し利用にはこの特例は適用されず、例えば浅草─会津田島間全線の利用の場合、特急料金は下今市までの1,440円ではなく、会津田島までの2,110円となる。他の鉄道でもよくある「特急列車が途中から普通列車に変わる」のではなく、リバティ会津はあくまでも全区間特急列車であり、ローカル区間の普通列車の本数の少なさを補うため、便宜的にローカル区間だけは乗車券のみの利用も認めるというスタンスだ。
しかしながら、この制度には混乱も見られる。下り列車の下今市からではほぼ降りる一方だからあまり問題にならないが、問題になるのは上り列車。会津田島の時点では空いていても、途中から特急券を持った乗客が現れた場合、もちろんその席を明け渡さなければならない。区間利用客は、特急券所持客がいつ現れるかわからないため、おちおち寝ていられない。特急券所持客にしても、指定された席に区間利用客がいた場合、自ら声をかけて退かさなければならない。お互いにとってストレスである。
似たような制度を持つJR東日本では、発券状況を示すランプを座席に設置することで、問題の緩和を図っている。例えば、常磐線特急ひたち・ときわでは、指定券が発券されていない座席には赤、「もうすぐ発券済みの区間になる」座席には黄、発券済みの区間では緑に光るランプが設置されている。このため、指定券を持たない乗客(東武と違いこの場合も指定券と同額の『座席未指定券』は必要)は、赤ランプが光っている座席を探せば良く、黄ランプに変わったら、他の赤ランプの座席へ移ればよいというわけだ。
しかしながら、ローカル区間の便宜利用に過ぎないリバティ会津の場合、ランプ設置などのそこまでの費用はかけられないだろう。下今市か鬼怒川温泉までは3両のうち1両を自由席=特急券を極力発券しないようにするとか、何かしらの配慮が必要のようにも思う。
また、東武日光─下今市─鬼怒川温泉といった日光エリアの短距離周遊客も「特急券不要」であるリバティ会津を利用するため、実質的に普通列車扱いながら、特急列車である車内にドヤドヤと普通客が乗ってくる、ということになる。このため、乗客は多いが1時間に1本しかない下今市─鬼怒川温泉間12.4km、20分が局所的に激しく混雑し、列車によっては座席の手すりを観光客が掴むほど、通路まで埋まるような混雑になるという。東武鉄道の努力によって日光エリアの周遊客が増えているのは結構なことだが、特急列車ならではの快適性が、途中の20分とはいえ害されるというのも、何とかならないものかと思う。やはり自由席≒普通客優先車両の設定は必要だろう。
乗り換え検索の際も注意が要る。例えばYahoo!路線情報では、リバティ会津は基本に則って特急列車として扱われるため、下今市─会津田島間の利用であっても、「特急列車を利用しない」設定にしていると、検索結果にヒットしない。例の浅草5:58〜会津田島9:45の乗り継ぎにしてもやはり素直にはヒットせず、いくらか設定をし直してようやく思い通りの時刻が出てくるという始末。これは検索サイト側も改修が要るのかもしれないが、やはり一見にはわかりにくいのは確かだ。
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「快速代替の区間急行に旅情なし」