快速代替の区間急行に旅情なし
さて、その快速33列車の流れを汲む、浅草5:58発区間急行2605列車:南栗橋行きに乗るべく、早朝の浅草駅に降り立った。
浅草5:41着の都営浅草線青砥行きから乗り継ぎ、発車10分前には浅草駅1番線、区間急行の乗車位置に並んでいた。
かつて快速が発着した5番線は、発車30分前から並んでいる人がいて、いかにも長距離列車が発車するホームという雰囲気があったが、現在5番線は使用停止。一般列車用の1番線へ向かうが、1・2番線は入れ替わり立ち替わり4扉ロングシートの6両編成がやってくるため、ベンチも少ないし、どことなく忙しない。5番線と比べると、同じ駅でも雰囲気がまるで異なるから、不思議なものだ。
区間急行2605列車:南栗橋行きは、北越谷5:04発→浅草5:51着、普通806列車で浅草へと送り込まれる。北越谷を出る上り始発であり、そこそこ多くの乗客が降りてきた。それにしても、発車7分前にようやく折り返し列車が入線というのも、快速33列車の勝手とはだいぶ異なる。ドアが開くと共に、いかにも山行きといったザックを抱えた中高年が何人か乗り込んだ。このあと同じ乗り継ぎをしてゆくのだろう。
しかし、浅草5:58の出発時点で区間急行2605列車に乗っているのは、1両に5名程度しかいなかった。浅草時点でボックスシートの半分=順方向のほぼ全てが埋まった快速33列車に比べ、明らかに空いている。やはり特急料金はかかっても乗り換えの手間がない特急リバティ101号に移行した向きが多いのか、それとも特急の潜在需要を東武鉄道が見過ごしていて、実態に合わない快速を長々と走らせていただけなのか。
浅草を出ると、15km/h制限で極めてゆっくり隅田川を渡る。6時前では日の出かどうかというくらいで、やはり6:20の快速33列車当時よりも暗い。隅田川を渡りきると、次のとうきょうスカイツリーに停車するのは同じだ。
異なる動きになるのは曳舟。半蔵門線からの準急4503K列車:久喜行きに接続し、準急が先発してゆく。区間急行は北千住まで各駅停車なので、この間無停車の準急が先発してゆくわけであるが、準急は新越谷から各駅停車となるため、この先の春日部では区間急行が抜き返すという、追いつけ追い越せといった複雑なダイヤである。この接続を知ってか、半蔵門線発の準急から区間急行へと乗り換えてくる行楽客は結構多く、浅草乗車よりも多いくらいだった。
東向島、鐘ヶ淵、堀切、牛田を経て北千住。東武本線系統最大のターミナル駅とあって大量乗車。残り少なくなっていた空席があっという間に埋まり、着席客の倍くらいの立ち客も出た。北千住でなだれ込むような乗車があるのは快速33列車当時と同じだが、春日部まで停まらない快速と違い、区間急行には明確な近距離客も当然いて、着席に対する情熱のようなものが違った。
北越谷まで続く複々線に出て、スピードを上げてゆく。新越谷で日比谷線からの普通を追い抜き、春日部では曳舟を先発していった準急を再び追い抜く。春日部では乗車の方が多く、かなり混み合ってきた。
行楽客がやはり目立つものの、普段着の乗客に加えて高校生もいて、早朝とは思えないような「通勤電車」である。5分おきに急行停車駅に停まり、ドアが開いて乗り降りがあるさまはまさしく通勤電車そのもので、例えばおにぎりを頬張ったりといった、行楽の雰囲気はない。ここまで変容するものかと、しみじみと感じ入るものがあった。
東武動物公園で伊勢崎線から分かれて日光線へ入ると駅間距離が開き、景色にも農地が現れ、長閑な雰囲気になってくる。
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「南栗橋ダッシュ!日光線急行」