関東

【茨城】”関東の北海道”を駆ける──関東鉄道常総線 #40

TXと共に伸びゆく守谷

旅の起点に選んだのは守谷。かつての守谷は、常総線沿線のいち自治体に過ぎなかったが、2005年のTX開通を機に、東京・秋葉原からTX快速で35分で結ばれたことで、常総線沿線で最大の変化を遂げた街だ。

▲TX開通と共に未来的な駅舎に生まれ変わった守谷。ここが2000年代になるまで郡部だったとは思えない

それまでの常総線沿線の開発は、東京に繋がる唯一の路線であった常磐線に接続する取手に近いところから順に進んでいくという、典型的な先細り型であり、当然最混雑区間も取手の一駅手前・西取手→取手間であった。このため、守谷は「常磐線の支線」であった常総線沿線に開発されたベッドタウンではあったものの、長く北相馬郡守谷町のままであり、市制施行も2002年と遅かった。守谷→上野間は、取手乗り換えでおよそ60分を要した。

それが、いきなり秋葉原まで35分で結ばれたことで、駅近辺はほぼ全取っ換えと言えるほどの再開発がなされ、大型マンションが林立するようになった。人口増加に伴って商業集積も進み、かつて取手市内にあったイオン取手店が、守谷駅徒歩圏内へイオンタウン守谷として実質的に移転するなど、今までとは反対に守谷が取手から吸い取るような流れも生んでいる。近年整備された美しい都市景観が人気を呼び、「住みたいまちランキング」などに守谷市が常連となるなど、その発展ぶりは著しい。

▲「住みよい街ランキング第1位」をアピールする横断幕。昔日の面影はない ▲再開発で生まれ変わったが、どこか伸びやかな景色が広がる守谷駅前。この住環境の良さとアクセスの良さを両立した街並みこそ守谷の魅力

しかし、この守谷の発展は、常総線にとっては功罪両方をもたらした。まず、守谷・南守谷・新守谷など、TX守谷駅まで直接出られる範囲の住民は、常総線に乗らなくなったため、この分の乗客が減少した。ほかにも、取手市域でまとまった利用がある戸頭、あるいは近隣の主要駅である水海道などの利用者も、取手まで乗らずに途中の守谷で降りてしまうようになったため、乗客数は減らずとも乗車距離が短くなり、この分が減収となった。TX開業前は最大5両編成が走っていたところ、現在は最大でも2両。また、データイムの複線区間は2両であったところ、現在は単線区間用の1両が取手まで乗り入れてくるようになり、2両はラッシュ時のみの運用となった。このように、TX開業後は利用実態に合わせ、省力化が進んでいる。

▲かつて1両は守谷─下館間のみの運用だったが、効率化のためデータイムは全線1両となった

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「地域の期待を背負う関鉄快速」

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