竜ヶ崎駅前に並ぶバスポール。しかし列車を待ち受けるバスは、時折にしかやってこない。
一般路線バスはたった1路線
竜ヶ崎駅前は関東鉄道バスのターミナルとなっており、竜ヶ崎線列車に接続し、鉄道が通らなかった稲敷・江戸崎方面へ向けて出発してゆく。しかし、その実態は極めて複雑で、ひとくちに関鉄バスといっても、竜ヶ崎駅からの下り方面だけで3つのポールが立っていることからも、その複雑さが窺えよう。
関鉄バスオリジナルの様式で立っているポールの脇に、「稲敷エリア広域バス」と書かれたオレンジ色の背の低いものがひとつ、黄色い板状の「Community Bus」と書かれたものがひとつ。都合、3種類のバスがここから出ていることになる。
このうち、もっともオーソドックスなのは関鉄バス標準のポールに書かれている佐貫駅・竜ヶ崎駅〜江戸崎線の江戸崎ゆき。江戸崎とは、龍ケ崎市から18kmほど離れた稲敷市の中心部のこと。2005年の稲敷市発足までは稲敷郡江戸崎町を名乗り、人口は2万ほどあった。江戸崎への公共交通機関は常磐線土浦駅からのジェイアールバスがメインだったが、佐貫駅・竜ヶ崎駅からの関鉄バスもそれなりの存在感を持っていた。
しかし、現在の運転本数は1日わずか6往復。それも、本来のメインルートであり、直線的な経路を採る「戸張経由」は8:41の始発のみで、あとの5往復は竜ヶ崎ニュータウンに位置する「済生会病院経由」となる上、4往復は11〜16時台に固まって運行されており、最終は19:30となる。竜ヶ崎駅からの始発が8:41という時点で、竜ヶ崎駅から下り方面への通勤・通学には利用できない。
つまり、この佐貫駅・竜ヶ崎駅〜江戸崎線はほぼ龍ケ崎済生会病院への通院バス、および旧江戸崎町から龍ケ崎市への通学バスとしてしか機能しておらず、龍ケ崎市〜旧江戸崎町間の都市間連絡の機能はほぼ喪失していると言っていい。かつての幹線系統ですらもこのような状況に追い込まれているあたり、クルマ社会に生きるローカル路線バスの厳しさを実感する。
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「命脈尽きる稲敷エリア広域バス」