竜ヶ崎線に乗る学生たち
帰宅の途につくべく、再び竜ヶ崎駅へ戻った。駅に戻ると、16:59発のコミュニティバスAルート(南が丘・長山線)が乗客を待っていた。列車から乗り継ぐ人もおり、竜ヶ崎線とコミュニティバスを乗り継ぐ需要がないわけではないことがわかる。
16:57着の竜ヶ崎線と接続を取り、北相馬郡利根町に近い龍ケ崎市南部へ向けて出発。元はといえば、やはり関東鉄道バスが竜ヶ崎駅〜成田線布佐駅間を結んでいた路線であり、やはり関東鉄道バスなきあとを、コミュニティバスが代替している。
改札を抜け、17:02発の竜ヶ崎線佐貫行きに乗る。発車を待っていると、ギリギリに大学生8人くらいのグループが乗り込んできた。都合30人くらいの乗客を乗せ、出発。大学生グループだけでなく、何人か立っている人もいる。夕方に向け、人の動きが出てきたと言えるだろう。
17:02、竜ヶ崎発。関東鉄道竜ヶ崎線普通佐貫行き。
大学生グループは流経大の学生だろう。訪問当日は日曜日であり、日曜日のバスは大学発16:25発が最終となることから、それを逃すと、大学から徒歩20分の竜ヶ崎駅へ出るほかなくなってしまう。彼らはその16:25発を逃し、仕方なく16:40頃に大学を出て、竜ヶ崎駅まで歩いてきたのだろう。おまけに、竜ヶ崎線ならバスよりも120円運賃が安い。少々の徒歩よりも120円を取る学生もいるだろう。
竜ヶ崎線は、ニッチながらもこうした学生の需要を掴んでいるのだ。曜日ごとや授業のありなしによって、佐貫駅─流経大間のバスは運行のぶれが大きく、特に授業がない日曜日は上記の通り最終も早い。バスのこうした面を、大学から遠いものの、安定した運行を行う竜ヶ崎線がカバーしていると言えるだろう。このように、現状でも大学シャトルバスと竜ヶ崎線は相補的関係にあると言える。新駅設置とバスの再編によって、竜ヶ崎線とバスの連携をさらに深め、地域のためにさらに資する交通機関へとなっていってほしいものと思う。
入地での乗降はやはりなく、列車は7分で佐貫に到着。30人も乗っていると、ちょっとした人波ができる。みなICカードをタッチし、足早に改札を抜けていく。佐貫駅前の広場に出て行く人はあまりなく、ほとんどは常磐線へ乗り換えるべく、橋上駅舎を上がって行く。やはり多くは上り列車への乗り継ぎといえ、ホームは平面で隣り合っているにもかかわらず、連絡改札がないのが惜しいところ。同じ常磐線の勝田駅では、常磐線とひたちなか海浜鉄道湊線が同じホームで接続しており、似たような構造にはできそうだ。
9分後の常磐線上野行きに乗り継ぎ、竜ヶ崎線を後にした。今度は、ぜひ竜ヶ崎線のヌシ、キハ532号に乗りに来たいもの。
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たった4.5kmながら、地域における確固たる存在感を示す関東鉄道竜ヶ崎線。都市近郊と農村部の境目あたりに位置するが故、都市近郊鉄道とローカル線の特徴を併せ持っている。その在り方からは、ローカル線へ都市近郊鉄道の利便性を取り込むためのヒントが多く含まれている。たった4.5kmと侮るなかれ、実に興味深い鉄道であった。
(茨城編 おわり)