古いマンションは蘇るか…南流山
流山セントラルパーク〜南流山間は2.2km。その中間地点からやや南流山寄り(南流山から0.8km、流山セントラルパークから1.4km)の地点で流山線と交差するが、その中間地点あたりでTXは南流山駅付近の市街地を避けるべく地下トンネルに入っているため、お互いの電車を見ることはできない。
センパから僅か2分、17:31に南流山に到着。最高130km/hの俊足を誇るTXだけあって、快速だけではなく、普通電車のスピードも桁違いに速い。この普通は2駅先の八潮で快速を待避するため、「北千住から秋葉原までの各駅へお急ぎの方はこの後の快速秋葉原行きにお乗り換えください」という案内があった。そのせいもあって殆どが南流山で下車。半分はホームに残って快速を待ち、もう半分は改札口へと上がってゆく。
道路下のコンパクトなスペースへ設置されたTX南流山駅は近年混雑が問題となり、島式1面2線しかないホームは拡幅の余地もなかったため、上下とも停止位置を2両分中心から遠ざけるという策をとった。
このため、上下とも被るのは中央付近の4両分のみ。上下4両分のスペースは上り・下り専用となり、ホーム混雑の緩和が実現している。ただ、上下で停止位置が80メートルもずれるという特殊な構造のため、慣れない乗客にはわかりにくいようで、目の前を素通りしてゆく電車めがけてホームを走る乗客も見られた。
長いエスカレーターを上がると、JR南流山駅が目の前にあった。雨に濡れず乗り換えができるのは、まあ当たり前か。
武蔵野線三郷方面から東京都心へは、隣の新松戸で常磐線各駅停車へ乗り換えるよりも圧倒的に早いこともあり、武蔵野線からTXへ乗り換える乗客は年々増加しており、その乗り換え拠点としても南流山は成長した。
…といっても、TXの新設駅より40年先行してできた駅だけあって、南流山駅前は成熟の段階に入っているようであった。駅前を取り囲むのは年季を重ねた中規模マンションが中心。駅前広場に面してセレモニーホールが建っているあたり、いかにも成熟期を迎えた住宅地である。
バスターミナルは南口・北口両方に設けられている。南流山駅を経由するバスの中で、メインラインと言えるのは、松戸駅を起点とし、常磐線とやや距離を置く流山街道をほぼ全線にわたり経由し、南流山駅・流山駅を経て流山市北部の東武野田線江戸川台駅へ向かう、京成バス流山線【松71/73/74】である。
この路線の主な役割は、常磐線と離れた(北松戸駅徒歩20分)日本大学松戸歯学部付属病院へのアクセス手段。松戸を出る段階では3本/h程度あるものの、「日大病院入口」で1本/hが流山街道から逸れて馬橋駅へ向かうため、南流山駅へ到着する段階では2本/hに減る。さらに、南流山駅以北は流山線とほぼ平行するためか、このうち半数は南流山駅で折り返してしまう。このため、南流山駅〜流山駅〜江戸川台駅間は1本/hに減る。
一般路線バスがそのようなお寒い状況であるなか、幅を利かせているのは公共交通機関空白地帯である市の南西部へ向かう流山市コミュニティバス・流山ぐりーんバス。終日3本/h・20分間隔と本数も多い上、始発6:40、最終21:00と運行時間帯もコミュニティバスにしては広い。一般路線バスと同じ場所から、小柄な日野ポンチョが時折発着してゆくのが見えた。
なお、流山ぐりーんバスは公共交通機関空白地帯を埋めるのが目的であるため、各路線が必ずしも結びついていないのが特徴。コミュニティバスにありがちな、何が何でも市役所や公共施設を目指すとか、そういった思惑は見られない。何せ、市役所が立地する旧市街である流山本町を通る系統が一切ない。むやみに設定してしまうと、流山線と乗客がバッティングしてしまうという配慮もあるだろう。
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「近くて遠い…南流山と鰭ヶ崎」