九州・沖縄

【沖縄】バスで行く小さな無人島への旅- 東陽バス【38】志喜屋線(2) #34

いざ、無人島へ

知念海洋レジャーセンターは、同名のバス停から3分ほど、崖を切り崩したかのような急坂を降りたところにある。それだけ国道が高いところを走っており、山が海岸までせり出す険しい地形のために、海岸に平地がないことの証左。車が上り下りできるギリギリの勾配であり、人の足でもそろそろと下りないと踏み外しそうで怖いくらいだ。レジャーセンターの建物はほぼ安座真サンサンビーチ、安座真港と連続しており、どこからどこまでがどの施設なのか判然としないくらい。まあ、隣地との境界がうやむやというのは、沖縄に限らず田舎ゆえのユルさだろう。船着き場がレジャーセンターの中にあるのも、ここが安座真港の一部として扱われているからなのかもしれない。

目指す無人島「コマカ島」は、ここの船着き場からモーターボートで15分ほど。1時間に1本ほどボートが行き来し、事前に「●時の船で帰ります」と船着き場の係員に申告してから、島へと渡るシステム。ボートの定員が限られるため、こうしてだいたいの人数を予め割り振っている。もちろん、ボートに空きがあれば前後の便への変更もできる。

パラソルは必需品として、沖縄の澄み渡る海を堪能すべく、フィンとシュノーケルのセットもレンタル。O君は「1セットでいいんじゃないですか」などと言っていたが、あまりビーチでのんびり過ごすといった趣味がない僕はフィンとシュノーケルを渡すつもりがなく、無理矢理2セットをレンタルした。後々、この判断が功を奏すことになろうとは。

暫く待っていると、開放的な屋根なしのモーターボートがコマカ島から帰ってきた。午前中を島で過ごした人々が晴れやかな顔とともに降り、入れ替わりに自分らを含め15人ほどが乗り込む。ライフジャケットを身につけ、いよいよ出航。港の中でも海の色はエメラルドグリーンに輝き、見る者の心を癒してくれるかのよう。

だんだんと本島が遠ざかり、海の色がグリーンからブルーへと変わってくると、それなりの水深になってきたことがわかる。「泳いでも渡れそう」なんて思ってしまうが、モーターボートで15分もかかる距離では、海流や波のうねりに飲み込まれてしまい、トレーニングを積まなければまず無理であろう。時折魚影が海中に見え、さほど大きくないトロピカルな魚たちが、悠然と通り過ぎてゆく。

船首を上げ、全快で飛ばしていたモーターボートのスピードが緩むと、そこは無人島・コマカ島の船着き場であった。安座真港のコンクリート護岸とは違い、こちらの船着き場は、島から渡された浮桟橋。何せ、支えは島の部分だけで、あとは金属の枠と木のパネルが組み合わされた浮桟橋が、その支えからいくつか縦列に繋げてあるだけなので、繋ぎ目の部分が波やうねりに乗って、揺れる揺れる。目測だが波高と同じく50cm程度は揺れていただろう。南大東島・北大東島のクレーン上陸とはいかないまでも、なかなかワイルドな上陸体験である。

浮桟橋からビーチへと飛び移れば、そこは白い砂浜が一面に広がる、美しいビーチだった。ビーチの奥には小高い丘が控えており、丘の麓は涼しい岩陰になっている。岩陰の近くにはパラソルが立ち並び、ビーチで憩う人々の姿があった。

さっそくパラソルをビーチに突き刺し、フィンとシュノーケルを装着して海に出てみる。

たっぷり3時間、ほぼフィンとシュノーケルを装着しっぱなしで過ごした。

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バス停でのんびり過ごす待ち時間

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