【ブログ『駅事務室』1周年記念企画】【前面展望風動画公開しました】
今回撮影した、浦臼発→石狩当別行きの後面展望を逆再生・4倍速にした映像と、石狩当別発→新十津川行きの走行音(等速)を組み合わせ、石狩当別発→浦臼行きのように仕上げた「前面展望風動画」をYouTubeにアップしました。札沼線をはじめとする北海道のキハ40形は、ワンマン対応改造のために前面展望動画が非常に撮影しにくく、苦肉の策として後面展望の逆再生+順方向の音声を合成するという編集に至りました。
クルマがすべてバックで走っていたり、ギリギリまで踏切が閉まらなかったり、赤信号でも構わず進行してしまっている(ように見える)など、あべこべな映像ではありますが、在りし日の札沼線の姿の記録として、申し分ないものができたと思っています。
雪晴れの札沼線の展望動画を、ぜひ一度ご覧ください。
乗客数名のキハ40に見る現実
北海道中央バス「滝川浦臼線」で浦臼駅に降り立ったのは、自分ひとり。1997年築の「ふれあいステーション」と名付けられた浦臼駅舎はなんと「浦臼町歯科診療所」と待合室の合築となっているが、あいにく日祝と木曜は休診日。それまで町内に歯科がなかったところ、2013年に浦臼町が隣の月形町から誘致し、開院に至ったのだそう。町の中心部に位置しながら活用されていなかった駅舎の活用策としては、かなり珍しい。
立派な駅舎はあるが、駅としては無人駅であるため、駅舎を通らずともホームに入れる。いわば、駅舎といっても公共の待合室でしかなく、それぞれが独立している形だ。既にキハ40が発車を待っているという状況では待合室に人影はなく、ホームへの階段を上がった。
札沼線にしては珍しく2両分があるホームに、やはり1両きりのキハ40がちょこんと停車していた。さっき石狩当別→新十津川で乗ったのとまったく同じ車両で、新十津川→石狩当別→浦臼と折り返してきたものだ。
乗車すると、乗客は僅かに3名。いや、3名もいると言うべきかもしれない。うち1名は旅行者で、もう2名は地元客のようだった。さっきの新十津川行きは車内に観光客の話し声が響いていたが、今は「ドゥリュリュリュリュリュリュ・・・」という、キハ40のアイドリング音が響き渡るばかり。「普通列車、石狩当別行きです・・・」といった、自動放送が車外スピーカーから、エンドレスで流れている。
さっきの新十津川行きは座席が完全に埋まり、新十津川到着前は観光客の熱気を感じるほどであったのに、新十津川まで行かない浦臼発着の列車となると、乗客数名というくらいにまで人気がなくなる。寧ろ、あれだけ観光客を集める新十津川行きの方が異例なのであり、観光客がいない札沼線の普段の姿は、数名の乗客を乗せたキハ40が、隣の国道を走るクルマに次々と追い抜かれながら、50~60km/hでトコトコと走る…というような、なんとも寂しいものなのだ。
滝川浦臼線からの乗り換えは自分しかいなかった。新十津川→滝川→浦臼と効率よく周遊できるルートであり、同じ行程を辿る旅行者がいてもおかしくないと思っていたが。新十津川の小さな駅舎を埋めていた観光客は、函館本線で旭川方面へ行ってしまったのか、それとももう既に札幌へと戻ってしまったのか。
13:21、浦臼発。札沼線普通石狩当別行き。自分を含めて僅か乗客4名の石狩当別行きは、静々と出発した。
当然途中駅の乗降は殆どなく、晩生内で1名乗車、秘境駅・豊ヶ岡で鉄道ファンが1名乗車。
唯一の交換駅・石狩月形では13:46到着・13:50発と4分停車したものの、交換なし。石狩月形では1名降車・2名乗車があっただけだった。
石狩月形を出ても状況は変わらず、知来乙・月ヶ岡・中小屋・本中小屋・石狩金沢では、当然の如く乗降無し。それでも普通列車たるキハ40は、誰もいないホームに粛々と停まっていく。
さしもの北海道医療大学でも乗車はなく、後続の札幌行き学園都市線電車に乗り継ぐ1名が降車しただけ。乗客は終始10名に達せず、3時間ぶりの列車とは思えないほど、全く静かなまま、浦臼から1時間2分を経た14:23、キハ40は終着・石狩当別の3番線へ到着した。
折り返しはわずか12分後、14:35発の普通浦臼行きで、こちらは1時間ぶりの北海道医療大学停車列車とあって、大学生を中心に20名程度の乗車があった。ただ、北海道医療大学降車の学生を差し引いたら、やはり10名残るかどうかだろう。
札幌行きの接続は石狩当別始発ではなく、北海道医療大学を23分後に出る普通電車であり、少々間延びする。きっちりとした接続でないあたり、普段の乗り継ぎ利用が多くないことを物語っていよう。逆方向も17分接続とこちらはまずまずで、石狩当別止まりの学園都市線電車に、石狩当別始発の札沼線気動車が接続する形であるが、駅ナカがあるわけでもない石狩当別で17分も待たされるのは、正直言って手持ち無沙汰だ。それでも石狩当別に着いた数名の乗客は、ほぼ全てが札幌行きを待った。石狩当別は乗客の流れが分かれる駅ではなく、札幌から続く流れに大きな段差がつく駅と言えるだろう。
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「隙間に生きた札沼線」