関西

【兵庫】タカラジェンヌに逢える街・宝塚──阪急今津線・JR福知山線(JR宝塚線) #35

大きな阪急、小さなJR

せっかく宝塚まで来たのだからと、宝塚大劇場の中を少しだけ見学。東京・有楽町の宝塚歌劇団ショップ「宝塚アン」は、清楚にして上品なヅカファンでいつも混雑していて、ちょっと通りすがり…ではうかつに入れないが、さすがにスペースに余裕がある宝塚大劇場のショップは、一見の観光客に過ぎない僕でもゆっくり見ることができた。劇場の前は公演前なのか、期待感に満ちた人々で賑わっていた。ただ、ファッションを見る限り、「ちょっと宝塚までお出かけに来ました」くらいの人が多く、あまり遠来の観光客は多くなさそう。親娘で阪急宝塚駅から歩いてくる人が多かった。大阪・梅田、神戸・三宮から宝塚まではともに30分、阪急沿線でもっとも離れた京都・河原町かわらまちからでも1時間あまりであり、阪急沿線からであれば、たしかに「ちょっとお出かけ」の距離。宝塚歌劇というとどうしてもお高いイメージがつきものではあるが、阪急沿線では映画と似たような、身近な娯楽のひとつなのだろう。東京宝塚とは少し違う、阪急沿線の暮らしのなかに根付いた宝塚歌劇の様子が垣間見えた。

花のみちを歩くこと10分、阪急宝塚駅に隣接した商業施設「宝塚阪急」に着いた。タイル張りだろうが、石造りのように見える堂々とした風格を湛えている。阪急宝塚駅と一体化した駅ビルに近く、駅ビルらしくデパ地下のような一角もあるが、そこは阪急らしく猥雑にならずシックにまとめられている。阪急宝塚駅から宝塚大劇場へ向かうには、まずこの宝塚阪急の中に入り、大きな吹き抜けの中のエスカレーターを降り、それから花のみちへと通らざるを得ない構造。したがってドレスを売る店など、観劇客相手の店も多い。

堂々たる風格を持つ宝塚阪急

宝塚阪急を抜けると、阪急宝塚駅前。こちらも宝塚阪急と同様、堂々とした存在感のある建物だ。歌劇団の街らしく、駅前にはスターの彫刻が立ち並んでいる。JR宝塚駅へは阪急宝塚駅のコンコースを抜け、さらにJR側の駅前広場を跨ぐペデストリアンデッキを抜けた先になる。いわば観劇帰りの客をJRへと渡してしまう前に阪急側で堰き止めてしまう構造であり、JRへはまばらな客数しか残らない。その構造のせいで、JRに向いた言わば裏手にあたる阪急宝塚駅の建物はそこまで目立つ意匠ではなく、JR駅舎も阪急の雰囲気に合わせて煉瓦積みのような意匠になっているが、豪華な阪急に比べると質素に見えてしまう。2008年に橋上駅舎化されるまではさらに質素で、戦前からの地上駅舎を改修して使っていたというから驚く。橋上駅舎となったことで阪急と改札口のフロアが揃い、阪急・JR間の乗り換えや、JRから宝塚大劇場への便が向上したのは改善点である。

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宝塚をめぐる攻防

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