九州・沖縄

【沖縄】石垣島:平久保崎・・・南の島の”北の灯台”へ──東バス【6】平野線 #77

空港連絡の機能も持つ近郊区間

それでは、実際に【6】平野線に乗ることとしよう。

▲空港線が発着する1番のりばに対し、2番のりばはローカル系統が発着する

バスターミナル発、平野行きの始発は11:20と遅い。これは、伊原間まで同じ経路を辿る【3】東回り一周線が、伊原間で【5】平野伊原間線の区間運転に接続する便があるため、朝の下りはこの1本で事足りるためだ。これにより、バスターミナル6:45発─(【3】東回り一周線・伊原間経由川平方面行き)─伊原間7:44着/8:00発─(【5】平野伊原間線・平野行き)─平野8:26着とリレーを形成している。(※ただし【5】平野伊原間線は学休日運休)

これらを合わせると、バスターミナル発平野方面行きは6:45(伊原間より先は学休日運休)、11:20、15:45、18:20発の4本/日が走る。

さて、これらローカル系統のうち、観光客の利用が多い【9】川平リゾート線を除き、バスターミナルの2番のりばから出発する。手前側の1番のりばは【4】【10】空港線と、【9】川平リゾート線で占められており、特に【4】【10】空港線は15分間隔運行のため、いつも何かしらのバスが停車しているという感じ。

2番のりば発の系統はどれも1日数本の運行のため、発車時刻のかなり前から地元客が集まり始める。余談ながら、バスターミナル内に冷房が効いた待合室はなく、屋根こそあるが外のベンチで待つのが基本。フリーパスや定期券、乗車券(バスターミナル発に限り食券機を利用した乗車券も発売する)を取り扱う案内所こそ冷房はあるがベンチはないため、案内所で待つならば立ちっぱなしになる。海が近く蒸し暑いことも多いので、せめて案内所にベンチを設けてはどうかと思う。

11:20発は、発車5分前に2番のりばへやってきた。船や飛行機があしらわれた青系の塗装の【4】【10】空港線とは違い、黄色のボディである。これにより、ローカル系統と空港系統の誤乗防止に一役買っている。

▲平野までは約40km。一周線に次ぐ長距離路線である

観光客は中国人らしきグループが乗っているだけで、あとは地元客が10名ほど。【4】【10】空港線と違って計装・地味な格好の乗客が多く、地元向けの路線であることがよくわかる。11:20、バスターミナル発。

観光利用が多い【4】【10】空港線や【9】川平リゾート線は、バスターミナルを出ると続けて向かいの「石垣港離島ターミナル」に停車するが、ローカル系統は寄り道せず、次の停車は「博物館前」となる。西表島など離島から乗客は、用があってもかねひで、サンエーなどへの買い出しか、石垣空港へ向かう航空客くらいであり、石垣島の奥地へ向かう向きはなかなかない。石垣港離島ターミナルは一方通行なので、寄り道するとなると数分のロスになることもあり、ローカル系統は通過しているのだろう。

石垣港離島ターミナルを通過する以外、【6】平野線は石垣空港まで、【4】平得経由空港線と全く同一の経路を辿る。こういった場合、空港の先まで行くローカル系統を空港線の一部へ包含してしまったり、或いはローカル系統を空港ターミナルへ乗り入れさせず、空港手前の停留所を経由するのみといった場合が散見される(少し前までの宮古島が典型的だった)。

しかし、東バスの場合は観光客にとってのわかりやすさを優先し、あくまで空港系統は空港系統として独立させ、【4】【10】の空港線のみで完全15分間隔としている。それにプラスアルファの形で【6】平野線のようなローカル系統を割り込ませており、かつ空港でもきちんとターミナルまで乗り入れる。このため、空港線の補完としてのみならず、空港から伊原間方面へのローカル区間へ直行する需要にも応えている。空港からは伊原間方面だけでなく、【11】米原キャンプ場線など、川平方面へ直行する便もある。少ない本数ながら、こうしたニッチな需要にも応えられるダイヤ設定になっているのは感心する。

▲サンエー前に停車。乗降とも多い主要停留所。バスで買い物に来る乗客も多い

【4】空港線の主要停留所である「かねひで前(11:28)」、続く「サンエー前(11:34)」では、市街地からこれらスーパーへの買い物客が降りてゆくと共に、午前中の買い物を終えた地元客が数名乗り込んでくる。

▲石垣島で最も大きいスーパー、サンエー・石垣シティ店の目の前に停留所がある(写っているのは空港線です)

市街地からであれば【4】の補完としての役割、伊原間方面へは大型スーパーへの直通便としての役割を果たしている。

▲宮良東で観光客が乗車

宮良、白保などでも「たまたま空港線以外のバスが来た」といった様子の空港客を乗せ、【6】平野線は空港へ向かっていく。

▲白保でも観光客を乗せた

11:57、石垣空港着。空港からの乗車もあるかと思ったが、キャスターバッグを抱えた5名が降りていった以外、動きはなかった。

▲石垣空港に到着。ここからの乗客かと思ったが、空港線の乗客だった

この【6】平野線・平野行きは、伊原間で川平方面行きに乗り継ぐことができるが(12:24着→12:45発)、主たる需要たる川平方面へは3分後に【11】米原キャンプ場線がある(石垣空港12:00発→川平公園前12:43着)ため、川平方面への直行客は【6】平野線・平野行きに用はない。

▲12:00発で待機する【11】米原キャンプ場線。空港と川平方面を直結する貴重な存在である

【6】平野線・平野行きの沿線には玉取崎展望台、平久保崎灯台などの観光地があるにはあるが、いずれも空港から直行するような場所でもない。空港からの乗車がなかったのも、無理からぬことかもしれない。

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空港からはフリー乗降区間

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