九州・沖縄

【沖縄】どちらに乗る?石垣空港から離島ターミナルへ──東バス④⑩空港線 #68

二大航空会社のホテルへ寄り道

ANAインターコンチネンタルホテルは、石垣島を代表するホテルの一つ。ホテルの車寄せまで大型の路線バスが乗り入れてくるのは、なかなか例がない景色ではないだろうか。

車寄せにも「路線バスが来ますのでバス停付近の駐停車ご遠慮ください」という掲示はあるが、観光客のレンタカーはそんなこと御構い無しに停めてしまうので、乗務員さんは針に糸を通すような運転を強いられる。ホテルのドアマンがバスを出迎えたものの、「乗車客なし」の意味合いで手を横に上げ、そのまま通過。ホテル敷地の入り口から車寄せまで250mほどあり、往復500mの寄り道だったのだが、無駄足になってしまった。ホテルのHPを見ても、バスのアクセス案内は東バスHPのリンクが貼られているのみと、かなり控えめなものしかなかった。客層からしてタクシーかレンタカーがメインとなるのは致し方なく、路線バスはサブ的な扱いなのだろう。

ANAインターコンチネンタルホテルを出ると、真栄里地区のロードサイド店舗が集積する一帯を通り抜ける。手前からメイクマン石垣店(ホームセンター)、マックスバリュやいま八重山店(スーパー)などが建ち並び、やや離れて④系統の経由地、サンエー石垣シティ店もこの一角である。

この真ん中にある真栄里北交差点で、先程離れた国道390号と交差。④系統は引き続き国道390号を経由するため、この交差点では④系統と⑩系統が交差するものの、停留所は交差点の近くには設けられていない。④系統ではサンエー前をはじめ、このロードサイド店舗街に位置する平得東でも買い物客が多く、⑩系統でも「マックスバリュ前」あたりに停留所を設ければよいと思う。現状、⑩系統はこのロードサイド店舗街にまったく停車せず、前後の停留所からは徒歩6〜10分を要する。特にマックスバリュはイオン系ながら県産品の品揃えが充実しており、「土産物はマックスバリュで」といった広告もよく見かけるほど。④系統・サンエー前の代替停留所にもなり、サンエー前と合わせて実質15分間隔で利用できるようになる。

真栄里北交差点を過ぎ、再び独自区間に入る。「みんさー工芸館前」では地元のオジイ1名が乗車。八重山の伝統工芸、八重山みんさー織の工房・売店・資料館を兼ねた施設で、観光バスの立ち寄りも多いところ。しかしこのオジイは明らかに地元の人だ。バスターミナル付近の市街地へと繰り出すのだろう。30分間隔で運行しているからこそ、こうした日常利用を取り込むことができている。④系統の「かねひで前」停留所は南に徒歩7分程度の場所にあり、時間が合わなければそちらを利用することもできる。

「八重山の最高学府」沖縄県立八重山高等学校の前を通過するもバス停はない。その先の「農高前(沖縄県立八重山農林高校)」交差点を左折すると、あとは終点・バスターミナルは目前なのだが、この⑩系統はいったん直進し、600m先の「アートホテル石垣島」停留所まで寄り道をする。アートホテル石垣島は旧・ホテル日航八重山であり、かつての旧・空港線はJAL・ANAの二大キャリアのホテルを両方経由したということになる。やはりホテル敷地内の車寄せまで乗り入れるが、こちらも乗降とも無かった。ただ、こちらではドアマンの出迎えはなく、JALホテルズを外れたことでスリム化がなされている模様。

それにしても、600mもの寄り道はいかにも無駄に映る。アートホテル石垣島からすぐ先の県道208号を南下すれば石垣市役所に突き当たり、現状はバスが経由しない美崎町の歓楽街にも、30分間隔で空港発着のバスを設定できる。現状、④系統と⑩系統が石垣市街地で共有する停留所は「石垣港離島ターミナル前」と「バスターミナル」の起終点2か所のみなので、経路変更にもあまり問題はないように思う。⑩系統は石垣市役所方面を経由させた方が良いだろう。

ともあれ、再び600m戻って「農高前」交差点を右折し、次の「登野城とのしろ小学校前」でスーツケースを持った乗客2名を含む3名が下車。周囲は住宅街であるが、ここまで来ると石垣市街地の外延部にあたり、市街地外れの安価なホテルもぽつぽつ出始めるので、こうした旅行客の下車も見られる。一応ここが八重山高校最寄りとなるのだが、往復1,200mもの寄り道はいかにも無駄足である。やはり八重山高校の最寄りにも停留所が欲しいところ。1名がバスを待っていたものの、「空港行きますか」との問いかけがあり、「空港行きは反対の停留所からですよ」と、道案内を含め丁寧に対応していた。やはり不慣れな観光客が多い土地柄か、「バスターミナル行」と大書きしていて空港に行かないことは一目瞭然なのだが、そうであっても横柄にならず丁寧に応対しているのは好ましいところ。

「桟橋通」停留所を経て、市街地の中心・730記念碑を通過。市街中心部にも関わらず停留所の間隔は開いており、この間600mにわたり停留所がない。この間には2本が並行するユニークなアーケード「ユーグレナモール」や石垣市公設市場など、地元客・観光客問わず利用する施設が数多く立地するため、もう1停留所あってもいいように思うのだが。「730記念碑前」とズバリ名乗れば、観光客にもわかりやすいだろう。

それにしても、マックスバリュ前、八重山高校前、730記念碑前といった多くの利用が見込める箇所に悉く停留所がないのは、どうしたことだろう。停留所の数を絞って速達化を図っているのか、それとも昔から見直しがされていないだけなのか。いずれにせよ、バスが経由するのに停留所がないというのは非常に勿体なく、利便性向上のためにも設置に向けて動いてほしいところ。

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「交通の中心地・石垣港離島ターミナル」

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