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リレー号で芦ノ牧温泉駅へ
浅草6:30発の特急リバティ会津101号に揺られること3時間13分・190.7kmを経て、9:43に南会津の玄関口・会津田島に到着する。
なお、前回記事でご紹介したように、浅草5:58発区間急行南栗橋行き〜南栗橋7:01着/7:02発急行東武日光行き〜下今市8:07着/8:15発特急リバティ会津101号会津田島行き〜と乗り継げば、32分の前倒し出発と2度の乗り継ぎと引き換えに、特急料金2,110円は不要になる。下今市からは同じリバティ会津101号に合流するので、会津田島からは同じ列車からのスタートになる。
会津田島駅は、駅舎に面した電車用の1・2番線と、駅舎から構内踏切を渡った先の気動車用の3・4番線に分かれており、電化区間と非電化区間を乗り継ぐ際は、ホーム会津若松寄りの構内踏切を渡る必要がある。このため、下り方面の乗り継ぎなら進行方向前寄り、上り方面は後ろ寄りに乗っておくとスムーズだ。なお、会津田島を跨ぐ快速AIZUマウントエクスプレスは、基本的に駅舎に面した電車用の2番線に発着する。
1日4往復の特急リバティ会津に接続する非電化区間の列車は、リバティ会津の列車番号と同じ番号を付けた「リレー○○○号」と付番されており、簡単なヘッドマークも掲出されているため、わかりやすい。下りリレー号はすべて普通だが、上りリレー号は2本目・3本目が快速として運行されるのが特徴。
このため、東武日光・鬼怒川温泉─会津若松・喜多方間をロングランする快速AIZUマウントエクスプレスと合わせ、会津田島─会津若松間の非電化区間を通過運転する快速列車は上下とも2往復が確保されている。細いながらも首都圏へつながる連絡ルートを構成しているということもあって、会津鉄道は単線・非電化のローカル線にしては珍しく、快速運転に力を入れている。
そのリバティ会津101号を降り、構内踏切を渡った4番線に待っているリレー101号・会津若松行きに乗り継ぐ。乗り継ぎ時間は9分あり、トイレに寄ったり軽くお土産品を覗いたりする時間もある。記念写真に興じる観光客の姿も多い。会津田島駅には会津鉄道の車両基地も併設されているため、この間に出番を待っているお座敷列車や観光列車たちを眺めるのも楽しい。
9:52に会津田島を出て、芦ノ牧温泉までは11駅・48分を経た10:40となる。快速列車も停車する主要駅のひとつであり、駅員も常駐する有人駅であるため、どの列車からも乗り降りが見られる。この駅もやはり跨線橋はなく、会津若松行き列車を降り、会津田島方面行きホームに面した駅舎へ行くには、ホーム会津若松寄りの構内踏切を渡る必要がある。
構内踏切から眺める芦ノ牧温泉駅の木造駅舎は、息を呑むほど美しい木造駅舎であると思う。冬の雪に耐える頑健な柱と、夏の暑さをしのぐための風通しの良さを両立した、その素朴な木造駅舎は、会津線開通当時から変わることはなく、この地に建ち続けている。
華美な装飾があるわけではないが、会津の風土に溶け込んだ、その素朴な木造駅舎には、農業国・日本ならではの美しさが詰まっているように思う。
その温泉もさることながら、芦ノ牧温泉駅には、いまや会津鉄道を支える存在となった「ネコ駅長」がいる。初代ネコ駅長は「ばす」といい、迷い猫だったところを地元の小学生に拾われ、芦ノ牧温泉駅で列車を出迎えたりしているうち、いつの間にやら駅長さんになっていたそうだ。会津鉄道の招き猫として愛されていた「ばす駅長」だが、残念ながら2016年に亡くなり、今では二代目「らぶ駅長」そして「ぴーち施設長」が、芦ノ牧温泉駅招き猫役目を引き継いでいる(※らぶ駅長、ぴーち施設長は撮影禁止)。
芦ノ牧温泉駅前の見どころは二つ。一つはこの駅前で90年以上にわたり営業を続ける「牛乳屋食堂」さん、もう一つはかつての貨物側線跡を活用した旧トロッコ気動車の展示だ。
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「今なお続く”駅前食堂”…芦ノ牧温泉駅前・牛乳屋食堂」