複線区間に連なる新駅
17:13、水海道発。関東鉄道常総線普通取手行き。ここまでの単線とは違った複線区間を走っていき、走りながら対向列車とすれ違ってゆく。1本目の快速下館行きと新守谷あたりですれ違い、こちらも複線区間をのびやかにスピードを上げる。
17:24着の守谷でやはり8割方の乗客が入れ替わる。TXから乗り継いできたであろう守谷からの乗客で差し引き少々乗客を増やし、座席が埋まった。南守谷、戸頭と守谷から近い駅でも降車があり、TX守谷駅から自宅最寄り駅まで…といった、バス的な利用も相当に及んでいる。南守谷、戸頭とも常総線開業時には無かった駅で、開業当時からの駅は3駅先の稲戸井までない。
守谷から4駅、取手までも4駅の地点にあるのが2011年開業のゆめみ野。周囲の開発に伴って新設された駅で、この区間の複線化(1978年)から30年を経てなお、沿線の開発が進み続けていることに驚く。
0.8km隣の新取手も新設駅だが開業は1968年と大先輩で、まだまだ新しいゆめみ野と、相応に時代を重ねた新取手の取り合わせが興味深い。ニュータウンの成熟や都心回帰が叫ばれるなか、都心直結ではない常総線沿線にも新駅を設けるだけの宅地需要があるのだ。
取手市役所最寄りの寺原は在来駅だが、次の西取手は1979年開業の新設駅。寺原―西取手間は0.5kmと極めて短く、ゆめみ野―新取手の0.8kmを抑えて常総線最短である。そして17:44、終点取手へ到着。足早に常磐線連絡口を抜けていく人半分、取手市街地への出口へ抜けていく人半分といったところ。取手に到着したのは20人ほどだっただろうか。
下妻8分、水海道7分の小休止を挟んだため、下館―取手間51.1kmを通してみると、98分を要している。ロスが少ない普通だと80分前後、快速であれば65分程度なので、もう少し全体的な普通のスピードアップが求められるところだ。
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非電化の線路を90km/hの全速で飛ばしていく気動車の旅など、関東近郊では常総線くらいしかないだろう。ベッドタウンを結んで走る都市近郊鉄道の顔と、筑波山麓の田園地帯に連なる地方都市を結んで走る地方幹線鉄道の顔を併せ持つ常総線は、実にユニークな鉄道だ。茨城県南の観光というと、どうしても筑波山や霞ケ浦の陰に隠れてしまうが、”関東の北海道”のど真ん中を駆けてゆくディーゼルカーの旅も、実に愉快なものだった。
次週は、もうひとつの関東鉄道:竜ヶ崎線へ。
(つづく)