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【山梨】【神奈川】水で繋がる神秘の村──富士急山梨バス道志線・神奈川中央交通[三56]三ケ木─月夜野線 #46

「道志村の入口」三ケ木

まずは「山の入り口」高尾駅へ。京王線を選んだのは、中央線一本で通すよりも(972円)、高尾まで京王線で行く(555円)と、417円も安くなる(IC運賃)ためだ。

▲本来は都営新宿線の電車が発着する5番線から出発。早朝ならではのイレギュラー運用である

新線新宿4:55発の京王新線各停高尾山口行きでスタート。この早朝時間帯は京王線・中央線とも各駅停車しか運行されない。しかし、駅の数は京王線37駅(京王新線初台・幡ヶ谷含む)に対し中央線21駅(大久保・東中野含む)とかなりの差があるため、中央線の方が15分ほど速い。このため、中央線の方がもう1本早い高尾発大月行きに間に合い、相模湖駅にも13分早く到着できるのであるが、その先のバスがない。このため、この行程をこなすのであれば、京王線で行っても同じことだ。

▲発車を待つ高尾山口行き。この電車に乗らない乗客はこの後の都営新宿線本八幡行きを待つ乗客である

土曜日の早朝だけあって、「金曜日28時55分」のような感覚の乗客もいれば、来たる山行きに備えて仮眠体制に入っている乗客もいる。飲み会明けの空気と、ハイキングの空気が同居しているのは、この電車がやはり山へ向かうが故の面白さだろう。

5:24、調布着。相模原線各停橋本行き始発に接続し、3割ほどの乗客が乗り換えていく。この相模原線各停橋本行き始発へは、各停高尾山口行き始発から8分で接続して5:32に出発し、終点・橋本へ5:58着。ここで神奈中バス[橋01]橋本駅北口→三ケ木行き始発へ22分で接続して6:20に出発、さらに6:53着の三ケ木で[三56]三ケ木→月夜野行きへ2分で接続し、6:55に出発…というリレーが成立する。調布〜三ケ木で経路を別にしても、三ケ木で1日2往復しかない[三56]にちゃんと接続しており、かなり考えられたリレー体制が組まれていることに感心する。

▲高架駅の高尾に到着。地平のJRとは少々離れている

高尾到着は6:08の予定だったが、特に何の案内もなく3分遅れ。このため、6:14発の中央線普通松本行きへは、かなりギリギリ。自分と同じく、松本行きへと走っていくハイカーの姿が多く見られた。流れに乗って自分も松本行きに乗り継ぎ、ほどなく発車。

▲足早に普通松本行きへ乗り継いでいくハイカーの流れ

ロングシート6両編成車内はほぼハイカーで座席が埋まっていた。この普通松本行きは、新宿を1時間42分後(7:00)に出た特急あずさ1号に4分差まで詰められるものの、松本まで逃げ切る(9:35着)。このため、甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳など、中央線沿線に点在する山々の登山口へ、少しでも早く到着したいハイカーが大勢乗っていた。多くはぐっすりと眠っており、来たる山行きに備えていた。

▲観光地の相模湖であるがこうも早朝とあっては町は眠っている

高尾から相模湖までは、小仏トンネルを抜けるため、1駅ながら9分を要する。6:23に相模湖に到着し、パラパラと乗客が降りていった。ほとんどのハイカーは熟睡しており、相模湖到着など、どこ吹く風。まあ、この先の甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳あたりまではまだ2時間以上かかるし、皆寝入っているのは当たり前か。

バブル期の後遺症から抜け出せない、昭和の観光地・相模湖であるが、相模湖駅は現代風に建て替えられていた。駅前にはいかにも昭和な観光アーチが掛かったままだが、駅前広場には小綺麗なバスターミナルが整備されており、小規模ながらも地域の交通ターミナルとして機能している様子が窺えた。

▲ガラス張りの新駅舎に建て替えられた相模湖駅

相模湖駅はこれから目指す三ケ木バスターミナルへの最寄り駅(7.4km)でもあり、約30分間隔の中央線の普通電車に合わせ、やはり30分間隔程度で神奈中バスの三ケ木行きが出ている。最終も22:25まであり、大都市近郊区間を外れたバスとしては遅くまで走っている部類と言えるだろう。

[湖28]三ケ木行きへは7分接続。PASMOをタッチし、中扉から乗る。こうしたエリアであっても、ICカードを利用できるのは本当にありがたい。運賃表示機は「次に到着する停留所」までの運賃しかわからず、自分であれば「相模湖駅から三ケ木まではいくらなのか」が相模湖駅の段階ではわからない。バスの運転士に聞いても、答えられない場合もある。そうした中で、小銭を用意しておかなくてもよいというのは、実にストレスを軽減してくれる。自分の他にも5名の乗客があり、全員が同じ中央線普通電車からの乗り継ぎであった。定刻になり、発車。

▲相模湖駅で発車を待つ[湖28]桂橋経由三ケ木行き

6:30、相模湖駅発。神奈川中央交通バス[湖28]桂橋経由・三ケ木行き。

乗車したのは[湖28]「桂橋経由」であり、旧甲州街道小原宿、千木良、津久井やまゆり園(バス停名『県立やまゆり園』)など、集落を経由していくため、三ケ木までは所要22分。これに対し、[湖21]はさがみ湖プレジャーフォレスト(バス停名『プレジャーフォレスト前』)など、国道412号を経由する短絡ルートを採るため、所要19分と若干短い。

こちらの[湖28]は集落を経由していくため、相模湖駅から降りていくばかりでなく、千木良ちぎら、県立やまゆり園などでは乗車も見られた。三ケ木到着前に道志川を渡るが、この名はずばり「道志橋」。道志川を渡る橋であると同時に、道志村への入り口のような意味合いも感じられる。[湖28]は乗客4〜5人をキープしたまま、6:53に終点・三ケ木へ到着。ここで[三56]月夜野行きへ乗り換える。

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「道志みち」は通行止め!

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