九州・沖縄

【沖縄】遥かなる”果てうるま”への旅路──安栄観光波照間島航路 #74

自転車で最南端の高那崎へ

さて、その波照間島へ渡航したのは、4/30(火)のこと。第1便となる石垣港離島ターミナル8:00発波照間港行きに乗るべく、7:30には石垣港離島ターミナルへ着いておいた。

出航ギリギリに買うと満席で乗れないこともあるというから、旅程が決まっているのであれば安栄観光のWeb予約を使うとよい。Web予約を使えば普通乗船券が5%割引となるので、使わない手はないだろう。ただしこのWeb予約、行きは時刻指定だが帰りはフリー乗船制となる。つまり、帰りの港到着がギリギリになると、定員オーバーで乗れない可能性もあるので要注意。もっとも、船の定員以上の乗客は波照間島入りできないので、そうした事態になることは稀である。

7:45頃に乗船が始まり、あっという間に座席が埋まってゆく。左舷後方の窓側を確保し、一安心。出航5分前に乗った大人数グループは、バラバラでの着席を余儀なくされていた。座席は完全に埋まっており、この分では乗れない人もいただろう。8:00、石垣港発。

しばらくは島伝いに進むため、揺れも少なかった。しかし、30分ほどで黒島を過ぎ、西表島の手前で外洋に出ると、途端にどっぷんどっぷんといった感じで波しぶきを盛大に上げるようになり、あちこちでペットボトルが倒れるほどになった。エチケット袋の世話になっている人もちらほら。なるほど、この予測不可能な揺れ方では、シートベルトを締めないと明らかに危険である。

そうしたワイルドな航海が45分ほど続き、ようやく波照間島の影が見える頃になって、ようやく揺れは落ち着いた。徐々にスピードを緩め、出航から1時間40分後の9:40頃、波照間港に接岸。出入口が1ヶ所しかないため、船内に行列ができる。船酔いで気分が優れないのか、御構い無しに座り続けている人もいた。9:45、波照間港着。

岸壁には民宿やレンタサイクル店の送迎がずらりと並んでおり、予約済みの観光客は目当ての送迎を見つけ、列を外れてゆく。旅客ターミナルのかなり手前で観光客を拾ってしまうので、結果的に旅客ターミナルの混雑を防いでいるとも言えるだろう。それにしても、青空の下、数々の業者が岸壁まで車で乗り付けて観光客を迎えるさまは、壮観ですらあった。

予約のアテがない観光客は旅客ターミナルへ向かい、情報収集。旅客ターミナルといってもさほど大きくなく、大きめの食堂くらいしかない。この時点で30℃近くあったが冷房はなく、大型の扇風機が何台が回っているだけで、暑い。4月にしてこの暑さか──。

幸い、旅客ターミナル道路向かいの「オーシャンズレンタカー」で、原付バイクから自転車まで借りられる模様であった。半ば徒歩すら覚悟していたが、10分ほど行列に並び、無事レンタルできた。12時間500円也。

いざ自転車を漕ぎ始めると、島の中央部、集落に向かって結構な上り勾配が続いており、アシストも変速機も何もない自転車では、結構な体力勝負になる。照りつける日差しもきつく、汗が流れる。

上がりきると、どこまでも続く農道に、さとうきびがざわわと揺れる、あの光景が広がっていた。

この景色に、大して説明は要らないだろう。海からの風を受け、自転車で一周道路を駆けてゆく。港から出発し、島の一周道路を反時計回りに自転車を漕ぐこと15分程度で、最南端の高那崎へたどり着いた。

「崎」とはいっても海に突き出た岬があるわけではなく、かなり尖った岩場が海岸線まで広がっている。海岸線は断崖絶壁で、落ちたらひとたまりもないだろう。まるで東尋坊のような荒涼とした景色が広がっているが、海の色は黒くなく、深い青であるあたりは沖縄らしい。

さすがに「日本最南端」という言葉は旅人を惹きつけるようで、何人かが記念写真を撮っていた。島影一つ見えない水平線を見やり、遥か彼方の大海原に思いを馳せ、佇んている人もいた。

少し離れたところには「星空観測タワー」が建っており、島のシンボルでもある南十字星をはじめ、人工の明かりの影響が極めて小さい波照間島ならではの環境を活かした施設と言える。星空観測タワーでは「最南端到達証明」を見学者に配布しており、僕も貰おうと思ったものの、残念ながらGW期間は休みであった。観光地なのにGWを丸々休んでしまうあたり、さすがは沖縄のユルさである。

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ニシ浜に魅せられて

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