九州・沖縄

【沖縄】西の果て・与那国島へ飛ぶ”うちなーの翼”に乗って――RAC・琉球エアーコミューター 石垣―与那国線 #75

与那国へのアクセスは航空主体

さて、そんな与那国島へのアクセスは、石垣島からの航空便が主体である。RAC・琉球エアーコミューターにより、石垣─与那国線が3往復/日(石垣発10:00・12:25・17:35、与那国発9:00・13:25・18:35)、運賃12,700円(普通運賃)で運航されている。石垣─与那国線のフライトタイムは30分程度で、石垣バスターミナル─石垣空港間の所要時間とあまり変わらない。プロペラ機ではあるが、やはり飛行機は速い。

▲与那国アクセスの主体となる航空機。RACにより石垣線3往復、那覇線1往復が運航される

下り初便の石垣10:00発は、石垣で東京・羽田発6:10→石垣着9:00のJTA・日本トランスオーシャン航空73便からの接続を受ける設定となっているほか、上り初便の与那国9:00発も、石垣で石垣発10:15→東京・羽田着13:15のJTA70便に接続する。石垣をハブとして、東京・羽田─与那国間をたった4時間15〜20分で結ぶ体制が構築されており、石垣空港で直接乗り換えが可能である点を最大限に活かすダイヤが組まれている。

この点、他の八重山の離島となると石垣空港から石垣港離島ターミナルまでのバス移動が避けられないため、与那国島よりも石垣島に近いにもかかわらず、移動には与那国島よりも時間がかかってしまう。例えば、東京・羽田6:10発のJTAで西表島へ向かうとすると、西表・大原港到着は11:35となり、所要5時間25分。与那国島より1時間も余計にかかるのだ。

また、石垣─与那国線だけではなく、県都・那覇を結ぶ那覇─与那国線も1往復/日(下り那覇発7:15→与那国着8:35・上り与那国発11:15→那覇着12:35)ある。与那国から那覇で1泊の用を済ませ、翌朝早くに与那国へ戻る用務向けの設定である。この那覇─与那国線は、与那国では「直行便」と呼ばれているが、本土に行かない便を「直行便」と呼ぶのも、石垣での乗り換えを必要とせず、県都まで直行できる…という、「離島の離島」たる環境ならではであろう。「那覇直行便」があるのは、宮古・八重山諸島の離島のうち、定期便が存在する空港の中では、唯一与那国のみである。

▲与那国空港出発カウンターにて。この空港から飛び立つ便はこの4便のみである

一方、他の八重山諸島各島へのメジャーな交通である船舶は、与那国に限っては日陰の存在である。何しろ、福山海運による石垣─与那国間の「フェリーよなくに」は週2往復(石垣発火・金曜10:00→与那国着14:00、与那国発水・土曜10:00→石垣着14:00)しか運航がないため、貨物はともかく旅客輸送の役割は極めて限定的であるからだ。(※よく誤記されるが『フェリーよなぐに』ではない)

▲石垣港に停泊中の「フェリーよなくに」。与那国島の物流を一手に担うだけあって、他のフェリーや高速船と比べひときわ大きい

フェリーよなくにの石垣港の発着地は、波照間島行き貨客船と同じく石垣港八島町貨物地区となり、他の離島航路が発着する石垣港離島ターミナルではない。ここの貨物事務所で出航30分前(つまり9:30)までに乗船券を買い求め、乗船手続きを終える必要がある。そうして4時間の航海を経て、与那国側の発着地は役場のある祖納ではなく、日本最西端の集落である久部良へ到着する。石垣港─久部良港の所要時間を比較しても航空の倍の時間がかかり、毎日運航ではないという予定の立てにくさもあって、観光利用には向かない。ただし運賃は片道3,550円と、航空の3分の1の安さである。

なお、祖納にある福山海運の本社は、1階に「ふくやまスーパー」を併設している。要は、自社のフェリーで物資を運ぶので、そのまま小売も手掛けているということ。ただしフェリーと同じく3〜4日に1回しか仕入れがないため、フェリー到着前には棚がすっからかんになる。それでも与那国町で最も品揃えが充実したスーパーであり、祖納に暮らす与那国町民の生活を支えている。

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与那国島を巡る無料路線バス

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