まるで特急停車駅?与那国空港
10:30、与那国空港着。定刻通りのランディングであった。
ランディングの傍ら、JALの鶴丸マークを付けたタラップ車が停まっているのが見えた。定期便がすべてプロペラ機なので当然ボーディングブリッジはなく、ジェット機の定期便はないためタラップ車も常用はなされないが、2,000mの滑走路を活かし、時折ジェット機のチャーター便がやってくる。その時にタラップ車が必要となるため、スタンバイしているというわけ。
小さなハットラック式荷棚からリュックを掻き出し、やはり駐機場を歩いて旅客ターミナルビルへと入っていく。「到着口」「出発口」と大きく書かれた看板が掲げられており、自然と「到着口」へ歩いていく列ができる。それにしても、この「到着口」には「Arrival」といったような英語案内すら添えられていない。インバウンドの波は、まだ与那国まではさすがに及んでいないようだ。
荷物引き取りターンテーブルの中央には与那国島の模型が浮かべられ、周囲を海に見立てているのは面白かった。
ターンテーブルとはいっても、旅客が並べる延長は6mほどで、数人が並べばいっぱいになってしまうほど短いものだ。
旅客ターミナルは1975年の供用開始時からさほど変わっていないようで、今となってはやや古びたコンクリート建築といった印象。観光案内所…というかカウンターも常駐しているのは1人だけで、この1人がガイドから取り次ぎまで何でもこなす。小規模空港らしい器用さである。
その他の設備はお土産店が2店舗、レストランが1店舗あるだけだ。あとはRACの窓口と搭乗口だけで、ややもすると地方の特急停車駅くらいの規模である。窓口があり、改札口があり、観光案内所と申し訳程度の土産物屋と飲食店がある…というさまは、空港というよりは地方の特急停車駅といったイメージの方がしっくりくる。
先日の波照間港は大挙して島の民宿やレンタカー店が岸壁にズラズラと並んでいたが、たった50席の飛行機を出迎える島の人は、数組しかいなかった。最大でも50名しか降り立たないのだから、定員210名の波照間島航路「ぱいじま2」に比べ、出迎えも4分の1といったところか。
最後の宿となる「アイランドホテル与那国」の送迎車に揺られた。この送迎車を待っていたのは、僕の他にもう2組だけ。与那国島最大の宿泊施設であり、もっとメジャーな存在かと思っていたが、祖納集落から徒歩20分と、半端に遠いのが敬遠されているのかもしれない。ここまで来たら綺麗なホテルというよりは、ワイルドな民宿を選ぶのも常なのかもしれない。空港までも徒歩15分程度なので、歩けない距離ではないのだが。
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八重山編もクライマックス。次回は、与那国島の各地を「与那国町生活路線バス」で巡りつつ、最果ての島・与那国の魅力についてご紹介しよう。
(つづく)